元天才子役・芦田愛菜が7年ぶりに民放連続ドラマに出演することでも話題になった、松岡茉優主演「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)。初回放送から、松岡&芦田の熱演に「感動した」などと賞賛の声が多くあがっています。芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんは、同ドラマに松岡茉優の“覚悟”を感じたといい、3年前に亡くなった三浦春馬さんの“最後の共演者”となった彼女にエールを送ります。

三浦春馬さんの“最後の共演者”

ドラマファン注目の7月期は『VIVANT』、『トリリオンゲーム』、『真夏のシンデレラ』。そこに続くのが『ハヤブサ消防団』、『最高の教師 1年後私は生徒に■された』でしょうか。

惹きつけるタイトルで言えば『最高の〜』が何とも挑発的ですよね。

このドラマは2019年1月期に平均視聴率11.5%を記録した『3年A組-今から皆さんは、人質です-』のプロデューサーと演出家が再びタッグを組んだ、広い意味での“現在の教師と生徒、教育問題”をテーマにした実験的な作品になっているようです。

私が気になるのは、こんなエキセントリックなタイトルと内容のドラマに松岡茉優がキャスティングされていたことです。

私の中で松岡といってすぐに思い出すのは、2020年9月期の『おカネの切れ目が恋のはじまり』です。

収録中に共演者の三浦春馬さんの悲しい出来事があり、4話しか放送されなかったドラマでした。

三浦さんの突然の出来事には、たくさんの芸能人たちが衝撃を受けましたが、松岡もそのひとりです。

“最後の共演者”になってしまったから…。

一部では余りのショックから“女優業からの引退”なんて報道もあったぐらいです。

それがあの時から3年、“卒業式に担任生徒の誰かに突き落とされた女性教師”役で帰ってきたのです。

舞台裏で様々な綱引きがあったことだけは間違いないのでしょうが、よほどの信頼関係が無ければ事務所もマネージャーからも松岡にオファーできなかったように思えます。

このドラマがいかに“憑依型”役者にとって危険な仕事なのかは、事前のキャスティングの動きからも垣間見られます。

一報を報じた『週刊女性』によれば、当初この教師役は柴咲コウだったといいます。

ところが本を読んだ柴咲は「こんな役はできない」と断ったというのです。

「女優としてのキャリアに泥を塗ることだけはしたくなかった…」とまで。

そんなハードな役柄を、3年前にあんなに辛い体験をした松岡が引き受けるとは…驚きです。

先行試写会では集まった高校生たちにはー

「現役の皆さんからすると辛いな、苦しいなと思うシーンがあるかもしれません。その時は離席して構いませんし、途中で見なくても大丈夫です」というメッセージも送っていました。

確かに松岡と、生徒役の芦田愛菜の演技には息の詰まるシーンもあり、このドラマに“覚悟”のようなものを持って臨んでいる松岡の姿勢が透けて見えてくるように思えました。

初回視聴率は6.5%という微妙な数字でした。

前“土曜ドラマ”枠『Dr.チョコレート』の平均視聴率は6.7%でしたから、とりあえず上々のスタートを切ったと言えるでしょう(視聴率は全てビデオリサーチ社調べ)。

これからサスペンス色が強くなるのか、教育問題に切り込んでいくのかはわかりませんが、松岡と芦田の演技を観る限り、少々“重い”テーマではありますが、展開によっては視聴率が右肩上がりになる予感さえさせています。

テレビ関係者の中には“業界で「不毛」と言われる土曜22時枠で大健闘”という輩も少なくありません。

初回放送の翌日には『TVer』などの再生数が100万回を超えたようです。

昨日まで一緒に現場で笑い合っていた相手が突然いなくなってしまう…そんな壮絶な体験をした松岡の心中は察するに余りあり、想像もできません。

しかし役者として、視聴者に伝える“何か”を表現できた時、そんな思いも報われるような気がします。三浦さんも、少々暑過ぎる空ですが、優しく見守ってくれている事でしょう。

松岡の完走を心から祈っています。

プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao

記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」

image by:Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

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