弊サイトでもたびたび報じているように、松本人志(60)の性加害疑惑をめぐり取り沙汰されている「セックス上納システム」。同システムが大きな話題となっているのは上の記事のとおりだが、松本同様、いやそれ以上に権力を振りかざし、政治の世界で欲望の限りを尽くしてきた「ミスター老害」こと二階俊博元自民党幹事長(84)に、驚きの「上納システム」の存在疑惑が浮上し、一部で大炎上状態となっている。

ことの発端は、自民党派閥の裏金問題に関して二階氏の資金管理団体「新政経研究会」が行った20〜22年の政治資金収支報告書の訂正。ここに「書籍代」として3,500万円近い金額が計上されていたのだ。当然ながら野党議員はこれを問題視、その内容の公表を迫られた二階氏の事務所は14日、書籍購入の理由とともに書名と領収書を添付した書面をリリースしたのだが、その購入部数は全2万7,700冊、ものによっては数百〜数千部単位と、とてもではないが常人が理解できる範疇をはるかに超えるものだった。

これについてネット上には批判的な書き込みが殺到。

《本屋でも開く気か》

《普通ならそれだけ本があれば家の床が抜ける》

《大人買いどころの話じゃねーぞ》

さらには「セックス上納システムどころかブックス上納システム」として、その問題点を指摘する声までが上がった。

しかしこの「ブックス上納システム」、考えてみれば日本社会を揺るがすと言っても過言ではない「仕組み」でもあるようだ。当稿では、その問題の考察を試みる。

【関連】松本人志「女性上納システム」20年に渡る“構築の黒歴史”を文春砲が暴露。苦しい言い訳の擁護芸人らを一網打尽か、未だ訴状が届かぬ理由

内訳の公表で明らかになった書籍タイトルと同一本に費やした購入金額

今回の内訳公表で明らかになった購入書籍は全17点。もっとも部数が多かったのは『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』(林渓清著、大中吉一監修/ブックマン社)の5,000部で、購入金額は1,045万円。他にも二階氏本人がインタビューを受けるなどした自身の関連本が300〜3,000部、金額にして34〜475万円となっており、二階氏と関係深い小池百合子東京都知事を描いた『小池百合子の大義と共感』(大下英治著/エムディエヌコーポレーション)は3,000部を購入し396万円を支払っている。

その他、自民党議員関連の書籍やネットユーザーの言を借りると「お抱えジャーナリスト」が執筆した本も含まれており、二階氏の事務所は「選挙区外の行政や議会関係者、関連する政策を進める関係者などに配布し政策広報に努めています」としている。

【一覧】二階俊博氏3500万円書籍代の内訳公表 3年で2.7万冊、小池都知事関連本も #二階俊博 https://t.co/4dOMpFH1Wi

— 日刊スポーツ (@nikkansports) February 15, 2024

大量購入の恩恵を受けた著者や出版社は二階氏にどう振る舞うか

その購入部数を問題視するのは、約30年に渡り出版業界に身を置く50代の男性メディア関係者だ。

「3,000〜5,000部を一括購入しているタイトルもありますよね。ご存知のように今の御時世、深刻な出版不況でして、初版1万分を超える書籍はかなりレアな存在で、3,000部からスタートという場合も珍しくありません。それを二階さんがまとめて買ってくれるとなれば、著者も出版社も絶対に頭が上がりませんよね」

それほど二階氏の「爆買い」は大きな意味を持っている、とした上で、男性メディア関係者はこう続ける。

「となると、大量購入の恩恵を受けた著者や出版社は、二階氏や自民党の批判をすることは一切できなくなります。つまり二階氏は爆買いで“メディアコントロール”しているということになるんです」

二階氏に、大量購入がメディアコントロールにつながるという意識はあったのだろうか。

【関連】自民の本好き妖怪・二階俊博に「巨額脱税」疑惑!特捜部による金丸事件再現&ブタ箱送りエンドの可能性は?

「書店のランキングを大きく左右する」という問題

大量購入はまた、リアル書店やネット書店のランキングを大きく左右する。これに起因する問題を口にするのは、書籍出版経験もある50代のライターだ。

「ランキング上位になるとそれを売りにして出版社は広告も打ちますし、書店はポップなどで大々的に売り場展開します。テレビを始めとしたメディアも取り上げますから、宣伝効果も抜群です」

しかしこの場合、何が問題となってくるのだろうか。

「宗教関連では昔からよく耳にするケースですが、例えば先日亡くなった池田大作氏や大川隆法氏は、信者から集めたお金で自著の大量購入をしていたという話も流れてきていました。これはある意味、信者も納得しているからマシですが、二階さんの場合は裏金、もしくは税金を使っていたとなれば悪質と言わざるを得ません。お話しした通りメディアもこぞって取り上げますから、大量購入は世論や印象すら操作できるんです」(同前)

男性ライターが言う通り、仮に二階氏の大量購入に税金が使われているとなれば、血税で世論操作・印象操作を行っていたことになり、悪質極まりない。

2017年には『週刊金曜日オンライン』が「安倍首相の政治団体が『アベ本』を4000冊以上購入、有権者に無料配布の疑いも」という記事で、『約束の日 安倍晋三試論』(小川榮太郎/幻冬舎)を、「10月16日に丸善書店で900冊を約140万円で購入。翌月11月9日に、紀伊國屋書店新宿本店で900冊、丸善日本橋店でも140冊を購入した」と伝えている。これも「世論操作・印象操作」のために行われたのだろうか。

【関連】安倍首相の政治団体が「アベ本」を4000冊以上購入、有権者に無料配布の疑いも

さらに浮上してくる大きな疑惑

加えて、二階氏の書籍大量購入に税金が使われていたとした場合、次のような疑いも生まれてくる。以下、順を追って解説する。

二階氏の事務所は書籍大量購入の目的の一つとして、「関係者などに配布」という理由を挙げている。書籍は「無料」で配布されることになるが、著者や版元は売れる当てのない多くの在庫を抱えることはない。つまりノーリスクで利益を得られるのだ。

ここで一つの「if」を唱えるのは、40代の男性ネットメディア編集者だ。

「もし仮に、出版社の利益や著者印税の一部が二階氏にキックバックされていたとしたら、それは原資を税金とした裏金が二階氏の懐に入っていたことになり、マネーロンダリングと言っても差し支えないと考えます」

事実、ネット上にもこんな書き込みが散見される。

《税金使ったマネロンだろこれ》

《二階が税金使って本買って印税が還流されてるってことないの?だとしたらマネロンだよね》

《著者から献金受けてたらそれもう立派なマネロンです》

今回公表された購入リストに、二階氏本人が著した書籍は含まれていないため、「還流」がない限り違法性は指摘できない。が、二階氏を巡っては幹事長在任中の5年間に党から50億円もの政策活動費を受け取っており、その使途も明らかにされていない。そんなカネを配られた子飼いの政治家たちが、派手な飲み食いや「女性遊び」としていたとしても、もはや国民は驚かないだろう。

右派メディアにも疑われる「血税を使った世論操作」

選挙が近づくと、『月刊Hanada』や『月刊Will』といった右派雑誌と呼ばれるメディアが、こぞって政権与党を持ち上げ野党を貶めるかのような特集を組み、これでもかと言わんばかりに電車の中吊り広告などを打っていた。

「ああいったメディアにも官房機密費から少なくないカネが渡っていたという話も聞いたことはあります」(前出の40代男性ネットメディア編集者)

こちらも原資は税金。血税を使った世論操作は今後も行われるのだろうか。

X(旧Twitter)の反応

自民党の二階俊博が政治資金の使い道として「書籍代が3年間で3500万円」と抜かしたことに対して、その道のプロである市立図書館のベテラン司書が「3500万円分の書籍というのは一般的な市立図書館だと4館分の蔵書に当たります。これを個人で所有するのは物理的に不可能です」と指摘w

— きっこ (@kikko_no_blog) February 9, 2024

やはり、大量購入だった

ナンバー2の美学 二階俊博の本心(大中吉一氏監修、林渓清氏著=5千冊)
政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄(大下英治氏著=3千冊)
小池百合子の大義と共感(同=3千冊)など

政治資金による世論操作が発覚したのは異例
二階氏もかなり追い込まれてきたのだろう https://t.co/VyGuk2Q3Gl

— 鮫島浩??ジャーナリスト『朝日新聞政治部』『政治はケンカだ!』『SAMEJIMA TIME』 (@SamejimaH) February 14, 2024

二階俊博の本の買いっぷりは、なかなかなものだ!
これについて2/14の毎日新聞が書籍購入の詳細な内訳を報道している。
特筆すべきは「大下英治」氏の本が突出していることだ。
──合計12,300冊。全体の約44%を占めている。
政治系作家の力の源泉がここにあり!といったところか?… https://t.co/LpLk7UkPc2 pic.twitter.com/OxTRuhM2zP

— 白坂和哉|ジャーナリスト|”突き刺さる” 政治情報を提供します! (@shirasaka_k) February 14, 2024

修正した3年で3740万円の書籍代。図書館でも作るのかと思いきや、その内訳をみて愕然とする。誰も納得しないだろう。出版社から最低買取数量を提示され、購入した本も含まれていたという。

【一覧】二階俊博氏が数千冊も買った本に政治家の名前 3年で3470万円、高額な書籍代の内訳は:東京新聞… pic.twitter.com/nStn7rqnvA

— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) February 15, 2024

大下英治『二階俊博の政界戦国秘録』シリーズが、なぜかどこのブックオフへ行っても美本の状態で均一棚に置いてあったのは、今回の「書籍代3500万円」問題と関係ありそう pic.twitter.com/mpuI4l4TeM

— 兵務局 (@Truppenamt) February 14, 2024

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by: 内閣官房内閣広報室 / CC BY

MAG2 NEWS