自分に都合のいいように人事をしてきた文在寅政権。「尹錫悦つぶし」に苦しんだ本人が、それをまた繰り返そうとしています。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、現大統領の突然の検察交代人事に言及しています。

韓国で起きた「ブルータス、お前もか」

イ・ウォンソク検察総長が14日、キム・ゴンヒ女史関連捜査を指揮したソウル中央地検首脳部交替に対して「人事は人事であり捜査は捜査」と話した。「証拠と法理により原則どおり捜査する」「検事たちを信じる」とも話した。しかし、「法務部と(首脳部の交代人事を)事前調整したか」という質問には、7秒ほど沈黙した後、「これ以上は申し上げない」と答えた。

大統領室との葛藤説など、人事関連の追加質問にも言葉を慎んだ。検察人事は法務長官が検察総長の「意見を聞いて」大統領に提請することになっている。前日、検事長級39人の交替が発表された時、イ総長は地方巡回中だった。自分の参謀陣が大挙変わったにもかかわらず、最高検察庁を空けたことは不満の表れかもしれない。

今回の人事を見て、4年前の文在寅政権の検察人事を思い浮かべる人が少なくないだろう。当時の政権は、秋美愛(チュ・ミエ)法務長官を前面に出し、大統領府の蔚山(ウルサン)市長選挙工作とチョ・グク一家の不正・不法捜査などを指揮していた尹錫悦検察総長をはじめその参謀らを全員左遷させた。尹総長の意見は黙殺した。空席は例外なく親文検事たちで埋めた。ソウル中央地検長には文在寅の大学時代の後輩を座らせた。尹総長の手足を切って政権不正に対する捜査をうやむやにさせ、大統領府が検察捜査に直接介入するという意味だった。

文政権は政権不正捜査指揮部を左遷させたのに続き、捜査チームの中間幹部たちも追い出す「2次人事虐殺」をした。蔚山市長選挙工作など大統領と政権実力者関連捜査を引き受けたソウル中央地検・東部地検次長検事5人を全て地方に発令し捜査から手を引くようにした。担当部長検事まで追い出し、捜査チームを空中分解させた。それでもユン総長が月城原発評価操作捜査などを継続すると発表すると文在寅は「尹錫悦つぶし」に乗り出した。

国民は不法を覆い隠そうと捜査チームを空中分解したムン政権のやりかたに怒りをぶつけ「生きている権力」を捜査したユン総長に拍手を送った。その結果、尹検察総長が有力な大統領選候補になり、大統領になった。

尹大統領は、検察の捜査ラインを入れ替えたからといって、不正疑惑がうやむやになり消滅することのないことを最もよく知っている人間だ。問題があればいつか現われるようになっている。ところが、他でもないその尹大統領が自分の妻を捜査する検察首脳部を突然交替した。自分がやられたことを自分が繰り返すような姿を見ながら、各社のニュースのコメントには「国民が信じて任せた権力を妻の保護に使うのか」という反応が多く出ている。痛恨の指摘と言わざるを得ない。[朝鮮日報参照]

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