続編への期待の声も多数だけど?

 2024年1月19日、ついに『ゴールデンカムイ』の実写版映画が公開されました。制作発表時は実写化されることについて賛否が巻き起こりましたが、全国393館(通常343館+IMAX50館)で公開されると週末の観客動員ランキングは1位を獲得、公開わずか3日間で観客動員数35万人、興行収入は5.3億円を突破と大ヒットを記録し、そのクオリティの高さや原作への愛に絶賛の声が多く挙がっています。

 一方で、原作のストーリーを丁寧になぞって再現している分、一部前後しているエピソードもあるものの、原作コミックスの3巻途中までしか描かれていないという問題もありました。絶賛するファンのあいだでも、「丁寧にやってくれてるからこそ、原作の消化が遅いというジレンマ」「このペースだと何作目で完結するのだろうか」と、心配の声も出ています。

※この記事では『ゴールデンカムイ』のまだ実写化されていないストーリーの展開について触れています。

 実写版『ゴールデンカムイ』のエンドロールの途中には、次回以降に登場する刺青の脱獄囚・二瓶鉄造や辺見和雄、家永カノ、アイヌの占い師インカラマッ、そしてアシリパの父の友人であるキロランケの姿が登場し、早くも続編に対するファンの期待も高まっています。ただ、長期スパンで続編を制作する場合、キャストの年齢などの問題も出てくるため、不安に思うファンの意見も多く見受けられました。

 それだけではなく「原作の描写をどこまで再現するのか」という心配も出ています。実写版第1作目では、ヒグマとの戦闘シーンや物語のカギを握る刺青人皮をはがすシーンなど、原作で描かれた残酷なシーンは極力直接的に見せないような配慮されていました。

 今後出てくる変態ぞろいの刺青囚人たちのエピソードのなかには、実写版で表現するには過激、残酷すぎて対象年齢を引き上げなければならない場面も少なくありません。レイティングが厳しくなると興行にも影響するため、今後の続編も基本的には原作を忠実に再現しつつ、あまりにも過激なシーンなどはカットや別の見せ方になるのではないか、と考えられます。

 SNS上では、今後の続編でどのエピソードや場面をカットするのか、予想する意見も多くありました。特に、動物を愛するあまり一方的に野生動物との性行為に及ぶ自称動物学者の姉畑支遁(あねはた しとん)のエピソードについては、「海外でも公開するなら支遁先生は特にアウト」「動物とのシーンは上手くぼやかすんじゃないかな」「アニメでもOVAでギリだったし、さすがに実写であのエピソードをするのは無理があるのでは……」と言われています。

 そのほかアニメで地上波放送されずOVAになったエピソードでは、親分と姫の愛も描かれた「モンスター編」、白石由竹の過去回想「恋をしたから脱獄することにした」、土方歳三&永倉新八vs尾形百之助の戦いが描かれた「茨戸の用心棒」などがあり、これらはカットの可能性を心配されているようです。

 また、第1作目では、脱獄囚の遺体から刺青人皮を剥ぐシーンの表現は最低限に抑えられていました。そのため、死体の皮を用いてさまざまな革細工を作っていた江渡貝弥作(えどがい やさく)のシーンもカットされるのでは、という声が挙がっています。SNS上では「実写映画は続いてほしいけど、江渡貝くんのシーンは実写で見たくないな……」「ファッションショーも鶴見中尉とのダンスも見たいけど、実写版の想像ができない」「単に偽刺青人皮を作る要員になるかも」などの意見がありました。

画像は映画『ちはやふる −上の句−』の小説版(講談社)

実写版が成功した漫画家も『ゴールデンカムイ』の続編に言及

 実写版『ゴールデンカムイ』の続編については、自身の作品が実写化された経験のある漫画家からの言及もありました。実写版映画が大ヒットした『ちはやふる』の作者、末次由紀先生は、自身のブログで実写版『ゴールデンカムイ』への賞賛の感想を記したあとに、「映画にも連載方式の波が来ているようです」と書いています。

 末次先生は今後の実写版『ゴールデンカムイ』について「映画公開時に興行成績を上げながら、そのあとは配信で追いついてもらい、何度も映画公開のタイミングで山場を作っていく……。新しい時代に生まれた『連載映画』とでも言うようなこの表現方法」と、自身の見解を示していました。

 今後、実写版『ゴールデンカムイ』の続編がどこまで制作されるのかは明かされていませんが、カットなしでコミックス3巻弱のペースで物語が進んでいくのならば、全31巻の原作内容がすべて実写化されるには、単純計算で10作以上が必要(ちなみに末次先生は15作と予想していました)になります。SNS上では「1年に2本ペースくらいで公開しないと完結までたどり着かない」「続編は早めに制作してください!」「映画だけじゃなくて連ドラで一気にエピソード消化できないかな」など、実写版の完結を危惧する意見が多くありました。

 先述の末次先生も、同ブログ内で「山崎賢人さん、健康でいて……!」と主役の杉元佐一を演じた山崎賢人さんに対し、期待と心配の声を寄せていました。

 今作の完成度が高いからこそ「なるべく全てのストーリーを実写化してほしい」と願うファンも多いようですが、極寒の北海道ロケも必要な撮影の大変さやキャストの年齢の問題など、現実的に難しい部分もあるかもしれません。難しい条件のなかでもいちばん良い方法を選択して、これからの続編を制作してほしいところです。

※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」が正しい表記
※アシリパの「リ」は小文字が正しい表記