丁寧な心理描写や所作が好評!よしながふみさんの大人気マンガ

 2024年1月19日に公開された映画『ゴールデンカムイ』には、各シーンの再現度や的確な改変、俳優の演技力に多くのファンから大絶賛の声があがり大ヒットを記録しています。人気マンガの実写化は賛否が分かれることも多く、良くも悪くも話題になることが多いですが、原作ファンも納得のクオリティでファンから大絶賛されたケースを振り返ります。

 近年ではよしながふみ先生のマンガを原作とした実写版『大奥』『きのう何食べた?』は、いずれも高い評価を受けており、昨年は時を同じくしてTVドラマの2期が放送されました。

 同名原作マンガをもとにした『大奥』は、2010年〜2012年に映画化、ドラマ化されてから10年以上の時を経て、2023年1月からNHKでTVドラマ化され、10月にはシーズン2も放送されました。同作は男子のみがかかる謎の奇病が蔓延した江戸の世界を舞台に、男性が極端に減少したなかで女性の将軍に仕える美男3000人が集められた女人禁制の「大奥」を舞台にした時代劇です。

 NHK版『大奥』はかつての実写化では描かれなかった「大政奉還」に至るまでの過程までも映像化した原作の再現度のほか、出演者の演技についても絶賛の声があがっていました。たとえば、我が子・家斉を将軍にしようと画策する非道な権力の亡者・一橋治済(ひとつばし はるさだ)を演じた仲間由紀恵さんについては、「サイコパスぶりが本当に怖くて震えた。同じ時代に生きていなくてよかった」、最後の大奥総取締として奮闘した瀧山(たきやま)を演じた古川雄大さんについては「姿勢も時代劇の所作も美しく、見とれた!」など、各キャストの熱演を賞賛するファンの声が多くあがっています。

 ほかにも「全19巻の『大奥』を全21話で綺麗にまとめた脚本が素晴らしい」「原作の伏線を散りばめながら、原作の要素を限りなく拾おうとしている作品。ぜひ大河ドラマの枠でもっと長く見たかった」など、原作へのリスペクトのあるドラマシリーズとして高い評価を受けました。

 また、『大奥』シーズン2と同じ2023年10月からは、『きのう何食べた?season2』が放送され、引き続き好評を得ています。『きのう何食べた?』は西島秀俊さん演じる料理上手で倹約家の弁護士・筧史朗(シロさん)と、その恋人で内野聖陽さん演じる美容師の矢吹賢二(ケンジ)の人生の機微を、日々の食事を通して描く人間ドラマです。

 2019年のドラマ1期、2021年の劇場版、いずれも評価が高く「マンガが本当に大好きで、ドラマはマンガの雰囲気がそのまま映像になっていて良かった」「シロさんとケンジの微妙な心の変化を丁寧に描いていてよかった」「よしなが先生の作品の重すぎない空気感と、生身の人間が演じるというウェット感が両立されていた」など、原作ファンからも納得の意見が多々出ています。

 そのほか、2012年〜2021年にかけて5作が公開された実写版映画『るろうに剣心』シリーズは、「週刊少年ジャンプ」にて連載された和月伸宏先生の時代劇マンガが原作です。主人公の緋村剣心は、幕末に「人斬り抜刀斎」と恐れられた剣の達人で、原作には多くのバトルシーンが描かれています。実写化の際、ファンからはマンガならではの表現も多いアクションの再現を危惧する声もあがっていましたが、剣心を演じた佐藤健さんはハードなスタントの数々もトレーニングを積んで再現し、絶賛を浴びました。

「洗練されたアクションがここまで様になるのは佐藤健しかいない」「マンガそのままじゃなくて飛天御剣流が現実にあったらこういう感じ、っていうリアルな殺陣の塩梅が見事」など、バトルの場面への賞賛が集まっているほか、藤原竜也さん演じる志々雄真実や、神木隆之介さん演じる瀬田宗次郎、新田真剣佑さん演じる雪代縁ら強烈な敵キャラの再現度が多くのファンも納得させたようです。

 同じ「ジャンプ作品」では、2006年に2部作の映画として実写化された大ヒットマンガ『DEATH NOTE』(原作:大場つぐみ、漫画:小畑健)も、長年高い支持を受けています。死神が落とした「死のノート=デスノート」を拾った大学生・夜神月(やがみ らいと)と、彼と対峙する世界的名探偵Lとのスリリングな頭脳戦が見どころの作品です。公開当時には、夜神月役の藤原竜也さんと、L役の松山ケンイチさんの演技力が大きな話題となりました。

「原作の月やLを再現するのは難しいかと思ったが、配役がピッタリとイメージに合っていた」「月が正義から悪へと変身する姿が恐ろしく、悪魔的だった。こんな表現ができるのは藤原竜也だからこそ」など、特に主演のふたりへの評価の声が多いです。

 また、原作の後半に登場するニアとメロの存在をカットし、月とLの戦いとして決着させた点や、香椎由宇さんが演じたオリジナルキャラの月の恋人・秋野詩織を絡めた映画独自の展開も、「月やLならこういうことしそうって思う理解度の高い改変」「原作愛を感じる」「彼女の存在で月のキャラが際立った」と称賛されています。