主人公の気持ちを考えると胸が痛む……

 主人公と深い関わりがあり、ときには恋に落ちることもあるヒロインですが、不幸にも途中で死亡したり、消息不明になったりする悲劇的な結末を迎えることがあります。

 今回は、まさかの途中退場でファンに大きなショックを与えた、悲しいヒロインたちを振り返ります。

※この記事には『呪術廻戦』『アカメが斬る!』『コードギアス 反逆のルルーシュ』に登場するキャラの生死に関する記述があります。

●『呪術廻戦』釘崎野薔薇

 人間に危害を加える呪霊と、呪霊を祓う呪術師の激闘が描かれるダークファンタジー『呪術廻戦』に登場するヒロインのひとりが、釘崎野薔薇(くぎさき のばら)です。

 釘崎は、主人公の虎杖悠仁(いたどり ゆうじ)も通う呪術高専の同級生で、勝気で素直な性格です。気に入らない相手であれば先輩であっても啖呵(たんか)を切るなど、物怖じしない強い心を持ち、ファンからは「イケメンすぎるヒロイン」ともいわれています。

 そんな彼女は渋谷事変のなかで、規格外の強さを持つ特級呪霊の真人と交戦し、彼の術式「無為転変」を食らってしまいます。触れることで魂の形を変え、肉体を改造し、改造された相手はやがて死に至るという術式でした。

 自身の死を悟った釘崎は、その場で呆然とする虎杖に、「皆に伝えて!」「悪くなかった」と遺言めいた言葉をのこし、頭部の一部と片方の眼球が破壊された無惨な姿になって倒れました。

 彼女の生死について、いまだ言明はされていないものの、虎杖が同期の伏黒恵に釘崎の容態を聞いた際、彼がうつむくような反応を見せたことから、厳しい状態なのは間違いなさそうです。

 ただし、現場に駆けつけた呪術高専京都校の新田新は「助かる可能性は0じゃない」と言っており、復活の望みも捨てきれません。

 途中退場のかたちにはなってしまいましたが、ネット上では「序盤の虎杖みたいに実は生きてましたってドッキリにならないかな」「どんな顔になってもいいから復活してほしい」など、釘崎の復活を願う声が多く、今後の展開が気になるところです。

●『アカメが斬る!』マイン

 マインは、超兵器「帝具」を使って、腐敗した帝国に立ち向かうダークファンタジー『アカメが斬る!』に登場するヒロインです。革命軍の暗殺部隊「ナイトレイド」の一員であり、アカメと並ぶ、もうひとりのヒロインという立ち位置です。

 マインはツンデレ要素がありながら、仲間に優しい性格が魅力の少女です。主人公のタツミとは出会った当初は喧嘩ばかりしていましたが、徐々に互いを意識するようになります。

 そんな彼女は、アニメ版『アカメが斬る!』第21話で、帝国に捕らえられたタツミを救うために帝国最強と呼ばれるブドー大将軍に挑みます。

 その結果、なんとか相手を倒しましたが、彼女自身もエネルギーを使い果たして力尽きてしまいます。

 最後はタツミと最初で最後のキスを交わし、秘めた想いを伝えたあとに息を引き取りました。

 ふたりのロマンスを期待していたファンにとっては絶望的な展開で、このエピソードは「マインショック」とも呼ばれています。

 ただし、これはアニメ版の展開であり、原作ではマインは生存しています。そのため、ふたりの恋愛を見届けたい人やマインが好きな人は、アニメ版を観てから原作に手を出すケースも少なくないようです。

『コードギアス 反逆のルルーシュ』15周年を記念したキービジュアル (C)SUNRISE/PROJECT GEASS Character Design (C)2006 CLAMP・ST

心優しい女性が操られた結末、あまりに凄惨…

●『コードギアス 反逆のルルーシュ』ユーフェミア・リ・ブリタニア

『コードギアス 反逆のルルーシュ』は、他人を絶対服従させる「ギアス」の力を手にした主人公ルルーシュ・ランペルージが、妹のナナリーを守り、死んだ母親の仇をとるため、神聖ブリタニア帝国に挑む物語です。

「ユフィ」の愛称で親しまれるユーフェミア・リ・ブリタニアはブリタニア帝国の第三皇女で、迫害を受ける日本人がブリタニア人と分け隔てなく暮らせることを望む、心優しい女性です。ブリタニア人と日本人が平等に生きられる「行政特区日本」の設立を推進していました。

 しかし、アニメ第22話で描かれた「行政特区日本」設立の記念式典で悲劇が起こります。

 彼女とルルーシュは分かりあえましたが、流れでルルーシュが「たとえば日本人を殺せって言ったら…」という言葉を発した瞬間、意図せずギアスがユフィにかかってしまいました。

 つまりルルーシュの意志とは関係なく、「日本人を殺すこと」を命じたギアスが発動したのです。

 ギアスの力に操られたユフィは式典に集まった日本人の虐殺を命じ、自らも銃を乱射して虐殺を始めました。

 ルルーシュは自責の念に駆られますが、この状況を最大限利用するために行動します。そして彼女の暴走を止めるため、やむなくユフィを撃ちました。

 最期は想いを寄せる枢木スザクに看取られてユフィは亡くなりますが、事情を知らない者からは憎悪の対象とされ、「虐殺皇女」の汚名を着せられました。

 人びとの幸せを願っていたユフィがたどった結末は、まさに悲劇としか言いようがありません。そんな悲しい最期を観た視聴者からは「ユフィの人柄を知っているから、この展開はやるせない」「なかなかに胸糞展開…」など、同情する声が相次ぎました。

 お気に入りのヒロインが途中退場するという悲劇的な展開は、読者や視聴者には受け入れにくいものですが、物語を盛り上げるために欠かせない場合もあるのかもしれません。