スモーカーは「かませ犬」の汚名を返上できるのか

『ONE PIECE(ワンピース)』の海軍中将であるスモーカーといえば、「不遇なキャラクター」の代表格といっても過言ではありません。序盤こそ強力な敵としてルフィたちの前に立ちはだかったものの、最近ではめっきり見せ場が減っており、今後の活躍も危ぶまれています。

 スモーカーはこのまま物語からフェイドアウトしてしまうのか、それとも名誉挽回のチャンスが回ってくるのか、そのポテンシャルを改めて分析してみましょう。

 そもそもスモーカーは、作中で初めて登場した「自然(ロギア)系」の能力者でした。その能力は身体を煙に変える「モクモクの実」であり、初登場の「ローグタウン」では、一切の物理攻撃を受け付けないチートじみた性質によってルフィを追い詰めました。

 その後もトップクラスの戦闘力として描写されており、物語がだいぶ先に進んだ「頂上戦争編」でも、ルフィを一方的に制圧し、「お前の能力じゃおれには勝てねェ!!!」と啖呵を切る姿が描かれています。このときハンコックが助けに入らなければ、ルフィは一巻の終わりだったかもしれません。

 ところが「頂上戦争編」が終わった辺りで、パワーバランスが激変します。能力の有利・不利を覆す「覇気」という概念が導入されたからです。「パンクハザード編」では覇気をまとった攻撃なら「モクモクの実」にもダメージが通ることが判明するどころか、ヴェルゴから「体積を増やせば『的』を広げるだけだ」と致命的な弱点を指摘されました。「モクモクの実」は煙幕のように広がって攻撃することが強みですが、それがむしろ弱点になってしまったのです。

 これ以降、ロギア系が猛威をふるう機会自体が減っており、「マグマグの実」や「ヒエヒエの実」などのように強力な自然物をモデルとした能力者しか活躍しなくなっています。単なる「煙」では、さすがに分が悪いでしょう。

 とはいえスモーカーは海軍の上層部に近い人間でありながら、自身の正義を貫くことができる稀有なキャラクターです。今後のストーリーで、重要な立ち位置になることは間違いありません。パワーインフレに追いつく方法も、いくつか考えられるでしょう。

画像は「フィギュアーツZERO スモーカー -パンクハザードVer.-」(BANDAI SPIRITS)

ロギア系の覚醒は「モクモクの実」のために温存されている!?

 例えば「悪魔の実」の能力に依存しない戦い方であれば、スモーカーにも活躍のチャンスがあるでしょう。革命軍のサボはロギア系の「メラメラの実」の能力者ですが、作中でも有数の実力者であり、その真骨頂は洗練された武装色、見聞色の覇気や「竜爪拳」という武術にあります。

 実をいえばスモーカーも新世界に突入した時期に覇気を習得しており、拳や十手を強化させつつ煙化を織り交ぜるなど、多彩な技を繰り出していました。この方向性で能力以外の部分を鍛えれば、覇気使いに一方的に蹂躙されることもなくなるはずです。

 そもそもロギア系が有効でなくなるのは、相手が格上の覇気使いだった場合なので、自身の覇気を限界まで鍛え上げれば、「モクモクの実」がふたたび最強の座に返り咲くのではないでしょうか。

 さらにもうひとつの可能性としては、能力の「覚醒」が考えられます。これは「悪魔の実」が「次のステージ」に到達することを意味しており、「ワノ国編」ではユースタス・キッドやトラファルガー・ローが覚醒した能力でビッグ・マムを追い詰めていました。四皇レベルになると能力の覚醒を前提とした戦いが繰り広げられるため、今後スモーカーが活躍するなら必要不可欠な進化といえるでしょう。

 ただし問題は、今のところ覚醒に至った「ロギア系」の能力者がひとりも描かれていないことです。スモーカーにとっては絶望的な状況ですが、ポジティブに考えるなら、今後パワーインフレに追いつくための救済措置としてあえて温存されている……のかもしれません。

 そのほか眉唾物ですが、「ゴムゴムの実」が真の能力を隠していたように、「モクモクの実」は覚醒すると別の能力になるという説もあるようです。逆から読むと「クモクモ」になるため、実は「雲」を生み出して天候を操れるのではないか、という説も聞かれます。

 いろいろと空想を膨らませられるスモーカーと「モクモクの実」のポテンシャルは、この先、再びルフィを圧倒するほどの力に目覚めてくれるのでしょうか。