普通の人間じゃないことは明らかだけど…?

『ONE PIECE(ワンピース)』は、物語の要所にちりばめられた伏線回収も見どころのひとつです。そのなかでも、ルフィと同じ最悪の世代のひとりである黒ひげ海賊団の提督「黒ひげ」ことマーシャル・D・ティーチに関して、いまだ回収されていない多くの伏線が気になる人もいるでしょう。今回は、黒ひげの正体に関する伏線や謎を見ていきます。

 黒ひげの初登場は第24巻のジャヤ島でした。「空島」の情報を求めるルフィたちを町の人たちが「妄想だ」と笑うなか、唯一ルフィたちをバカにしなかった人物です。その後、「行けるといいな」と語る黒ひげに対して、ナミは「あいつ『空島』について何か知ってたのかも」とつぶやきますが、ルフィとゾロは「『あいつら』だ」と訂正します。「あいつら」は黒ひげの仲間を意味している可能性が高そうですが、ネット上では「何か意味深なものを感じずにはいられない」という意見も見られます。

 また、第59巻の頂上戦争で白ひげを殺害し、「グラグラの実」の能力を奪った黒ひげは「ヤミヤミの実」と「グラグラの実」のふたつの能力者となりました。悪魔の実はふたつ食べると身体が砕け散るという設定がありながら、彼には何の変化も起こっていないようです。それどころか、その場で「グラグラの実」を使いこなす姿まで見せていました。

 当時、白ひげ海賊団だったマルコは、黒ひげの身体について「体の構造が『異形』」なため悪魔の実の能力をふたつ得ることができたと推測していますが、具体的にどこが異形なのかは、いまだ触れられていません。

 黒ひげの特異体質を思わせるセリフはほかにもあり、第45巻では「バナロ島の決闘」で黒ひげを探し出したエースが「『人の倍の人生』を歩んでるお前がこの状況を理解できんわけがねェ」と彼をあおります。さらに第96巻のロジャー海賊団と白ひげ海賊団の過去回想シーンでは、バギーが、「生まれてこの方一度も『眠った事がねェ』んだとよ」と黒ひげのうわさを話しており、黒ひげが普通の人間でないことが分かります。

 これらの情報から、黒ひげには「多重人格説」「イヌイヌの実 幻獣種モデル『ケルベロス』を食べている説」「ヒトヒトの実を食べたケルベロス説」などの仮説が浮上しているようです。ちなみに、ケルベロスという考察に至ったのは、3つの頭がひとつずつ交代で眠れることから予想されています。

 また、黒ひげ海賊団の海賊旗のどくろが3つの頭であることや、過去に黒ひげがシャンクスの目につけた傷跡が、獣のようなひっかき傷であることから推測されたようです。もしこれが真実であれば、彼が「眠ったことがない」という事実にも納得ができます。さらに、睡眠時間を活動時間と考えればエースの言う「人の倍生きている」というとらえ方もできるかもしれません。

 一方、黒ひげ自身のセリフにも、伏線と思しき意味深なものが残されています。前述の「バナロ島の決闘」にて、エースに対し「ヤミヤミの実」の能力で引きずり込むのは「悪魔の力」といっており、ネット上で「なぜ『悪魔の実の力』って言わなかった?」「ずっと引っかかってる」という声が挙がっていました。

 現在、黒ひげは能力者狩りを行っていますが、能力者から悪魔の実の能力を奪う一連の流れは描かれていません。白ひげから「グラグラの実」の能力を奪ったときに、黒い布に隠れて何を行っていたか、明かされる日は来るのでしょうか。

 深い考察が楽しまれているだけに、最終章ではどのような新事実が明かされていくのか期待が高まります。