ファンの熱意がヒロインを変えてしまった
序盤から登場するヒロインキャラは主人公と深く関わりあい、一緒に作品を盛り上げていくものです。しかし、なかには途中でほかの女性キャラが登場し、やがてメインヒロインが変わってしまった作品も存在します。今回は途中でヒロインが交代した作品を振り返りましょう。
※この記事は『地獄先生ぬ〜べ〜』『ぬらりひょんの孫』『ようこそ実力至上主義の教室へ』のネタバレを含みます。
『地獄先生ぬ〜べ〜』
マンガ『地獄先生ぬ〜べ〜』は童守小の5-3の担任を務める主人公の鵺野鳴介(通称:ぬ〜べ〜)が、自身の左手に封印した鬼の手を武器に妖怪から教え子たちを守る学園コメディホラーです。
ぬ〜べ〜がほれている同僚の高橋律子先生(通称:リツコ先生)が序盤から登場していたため、彼女がメインヒロインと思われていました。しかし、途中から登場したぬ〜べ〜を恋慕う雪女のゆきめに、その座を奪われてしまいます。
ゆきめは幼い頃にぬ〜べ〜に助けられた経験から、初登場時より彼にほれており、ぬ〜べ〜が暮らす町へ引っ越してきて彼に猛アタックを仕掛けました。ぬ〜べ〜はリツコ先生が好きで、さらに人間と妖怪では結婚できないと考えていたものの、ゆきめの一途な思いに次第にひかれていきます。
そして、ぬ〜べ〜はゆきめが自分と結ばれるために人間になろうとしたことをきっかけに彼女への思いを自覚し、途中からぬ〜べ〜の魅力に気付いて好きになっていたリツコ先生からの告白を断ってゆきめに思いを伝え、ふたりは晴れて結婚しました。
なお、「ジャンプ+α」の「地獄先生ぬ〜べ〜 30周年記念インタビュー」で、原作の真倉翔さんは「ゆきめをゲストキャラと考え、ヒロインにするつもりはなかった」と明かしています。しかし、読者のなかで、ゆきめの人気が高かったことから再登場させ、やがてヒロインの座まで上り詰めたそうです。ファンの応援がキャラの運命を変えた例といえるでしょう。
ちなみに「次元妖怪・まくらがえしの巻」では、「もしも」の世界線として、妖怪との戦いで廃人となったぬ〜べ〜をリツコ先生が世話しているという切ない姿が描かれました。
『ぬらりひょんの孫』
妖怪同士の戦いを描いたマンガ『ぬらりひょんの孫』でも、『地獄先生ぬ〜べ〜』と同様に雪女がほかのヒロインを押しのけてメインヒロインへ昇格しました。
本作は4分の1だけ妖怪ぬらりひょんの血を引いた主人公の奴良リクオが、戦いに巻き込まれていく怪奇ファンタジー作品です。
ヒロインは主に3人で、人間の家長カナ、リクオの仲間で雪女の氷麗、陰陽師の花開院ゆらが登場し、リクオを支えたり一緒に戦ったりします。
なかでも家長カナは序盤から登場していたうえに、リクオの幼なじみというおいしいポジションから、当初はメインヒロインと思われていました。しかし、妖怪同士の戦いが激化すると、人間であるカナはストーリーに絡ませづらいのか出番が減っていきます。
その代わりに、リクオとともに戦う氷麗の活躍が目立つようになりました。氷麗は戦いのなかで体を張ってリクオを守ったり、さらわれたところをリクオに助けられたりします。さらに、最終巻のおまけでは、事故で氷麗を押し倒したリクオが彼女にキスを迫ったことから、両思いであることが判明し、メインヒロインの交代が決定しました。
別の女性キャラが主人公の恋人へ
『ようこそ実力至上主義の教室へ』
衣笠彰梧さんのライトノベルのアニメ版『ようこそ実力至上主義の教室へ』は、生徒の能力が高いほど好待遇が受けられる完全実力主義の学園生活を描いた作品です。能力が高いほど学園内で通貨に代わるポイントを多くもらえる一方、能力が低ければポイントをもらえないどころか、退学になることもあります。
主人公の綾小路清隆はこの学園に入学し、底辺といえるDクラスへ配属されました。清隆はそこで出会ったトップクラスのAクラスを目指す堀北鈴音に裏で手を貸し、中間テストや暴行事件などのトラブルを解決していきます。
当初、鈴音がメインヒロインと思われていましたが、途中でクラスメイトの軽井沢恵が試験で清隆と同じチームになったことをきっかけに、彼女が清隆の協力者となり出番が増えていきました。次第に恵は清隆に好意を抱くようになり、1年生編の終盤には清隆が恵に告白をして、ふたりは恋人関係になります。
この展開以外にも雑誌やBD&DVDの特典で恵のグッズが増えたことから、ファンの間では「ヒロイン交代」と言われています。恵は作中でも屈指の人気キャラのため、このような結果になったのかもしれません。