根強い人気のオルタナティブシリーズ

 2024年4月7日に、「ガンダム」シリーズの放送45周年を記念した特番が配信されました。そこで発表されたのが、30周年を迎える『機動武闘伝Gガンダム』の新情報、そして『Gガンダム』を含む3つの「オルタナティブシリーズ」に関する「ガンダムGWX30周年プロジェクト」です。これから3年間にわたって、さまざまな企画が実施される予定です。

 ちなみにオルタナティブシリーズとは、「ガンダム」シリーズにおいて「宇宙世紀」を舞台にした作品「以外」の公式による総称で、2024年2月4日放送の特番から聞かれるようになった言葉です。これまでファンの間では「アナザー」などと呼ばれていた作品群が該当しそうですが、そのなかでいち早く、そして続けて放送された「GWX」の3作は「平成三部作」として扱われているケースもありました(『V』は宇宙世紀作品のため該当せず)。

 今回は、「ガンダム」オルタナティブシリーズのなかでも、歴史ある「平成三部作」がどのように支持されてきたのかを振り返ります。

●『機動武闘伝Gガンダム』(1994〜1995年放送)

「SDシリーズ」を除き、宇宙世紀以外を舞台にした初めての「ガンダム」となったのが『機動武闘伝Gガンダム』でした。その舞台となる「未来世紀」では4年に一度、コロニー連合の支配権を巡って各国代表の「ガンダムファイター」が地球上で戦う「ガンダムファイト」が繰り広げられています。本編では、父を救うため、兄を倒すために「ネオジャパン」代表となった「ドモン・カッシュ」を中心に、第13回大会の様子が描かれました。

『Gガンダム』の作風は、当時流行していた対戦格闘ゲームの要素を反映していました。ガンダムが1対1で戦うことをはじめとする、それまでの作風との違いに、放送当初は戸惑うファンもいました。しかし今川泰宏監督らしい型破りな演出や、ドラマチックな展開に評価はうなぎ登り。今夏には今川監督による外伝シナリオの展開も予定されており、30周年を迎えたいま、もっとも勢いのある作品といえるかもしれません。

●『新機動戦記ガンダムW』(1995〜1996年放送)

『新機動戦記ガンダムW』ビジュアル (C)創通・サンライズ

『新機動戦記ガンダムW』は地球と月の周囲に多数のコロニーが建設された「A.C.(アフターコロニー)」を舞台にした作品です。地球圏統一連合の軍事組織「OZ」を打倒し、コロニーの自由を守るため、5機のガンダムと5人の少年が地球に送り込まれる「オペレーション・メテオ」から物語は始まります。

『ガンダムW』では、従来の宇宙世紀作品のような、大規模な戦争を扱っています。基本的にはシリアスな展開が続くなかで、「戦争と平和」を巡る物語が紡がれます。ただし第1話における主人公「ヒイロ・ユイ」によるヒロインに対する「お前を殺す」発言を筆頭に、ぶっ飛んだシーンも多数あり、いまでも強く覚えている人も多いでしょう。

 また男性だけでなく、女性にもガンダムパイロット5人をはじめとするキャラクター人気が非常に高かったことも特筆すべき点です。1997年と早々にOVA三部作『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』が展開されたことからも、本作の好評ぶりがうかがえます。

●『機動新世紀ガンダムX』(1996年放送)

『機動新世紀ガンダムX』ビジュアル (C)創通・サンライズ

 スペースコロニーとの全面戦争により、地球人口がほぼ失われた「A.W.(アフターウォー)」という時代が舞台となるのが『機動新世紀ガンダムX』です。荒廃した地球で、戦災孤児の「ガロード」が、ニュータイプ能力を持つ少女「ティファ」と出会ったことで戦いに巻き込まれていきます。

『ガンダムX』は、放送時間の変更や放送期間の短縮などの憂き目にあいながらも、物語を完遂しました。宇宙世紀作品で扱われていた「ニュータイプ」という概念を引用しながらのテーマの提示も巧みでしたが、何より「ガンダム」には珍しいストレートなボーイミーツガールものとして、お気に入りの人もいるのではないでしょうか。

●あなたはどの「ガンダム」が好きだった?

 ここまで、宇宙世紀ではない「ガンダム」シリーズの可能性を切り拓いた3作品を振り返りました。30周年を迎えるこの機会に、未見の人はご覧になってほしいところです。すでに観ている人は、改めて各作品の良さを振り返ってみてはいかがでしょうか。