磨けば光る原石? リメイクしたらヒットしそうなFCの問題作たち

 ファミコンソフトには良くも悪くも斬新かつ大胆な発想のタイトルが多く、いまでは考えられないほど突飛な内容のソフトもひんぱんに発売されました。また、バグが多かったり、ゲームバランスが偏り過ぎたりすると、プレイヤーの間ではいわゆる「クソゲー」といわれてしまいました。しかし、ゲーム性はけして悪くなく、なかには令和のいま、リメイクしたら「売れる」可能性を秘めたタイトルも存在します。

 時代の流行や当時のニーズに合致せず、いまいちな評価を受けてしまったゲームとして、1985年に発売された『バンゲリング ベイ』は分かりやすい例です。

 見下ろし視点の平面全方位任意スクロールシューティングで、当時の流行ジャンルのひとつでした。しかし、十字ボタンの左右で自機の旋回、上下はスピード調整という操作性は、当時はあまりなじみのないラジコンヘリを意識したものでした。またステージの2面以降は同じマップの繰り返しで終わりがなく、達成感が得られない点も、「クソゲー」と呼ばれてしまった大きな理由となりました。

 しかし、広大なマップを任意の方向へ自由に動かして進めるシューティングというのは、自由な戦略性に長けており、システムやマップ次第では、大化けする可能性を秘めています。評価が悪かった理由は、エンディングがなく、同じマップの繰り返しだったこともあり、「マップを新たにしたリメイク版を発売してほしい」との声が多く見られます。

 世界観や雰囲気は魅力的だったのに、ゲームバランスがひどく悪かったタイトルとして、1987年発売の『星をみるひと』があります。コンピューターに管理された退廃的な未来世界を舞台としたRPGは、現代のゲーム界隈でも見劣りしない独創性を持っています。

 不親切なフィールド設計やバトルエンカウントで「クリアすること自体がやり込み」とまで評されたものの、熱狂的なファンが多いという珍しいタイトルです。2020年にNintendo Switchに移植され、やり直しやセーブ、高いレベルでスタートできるなどの機能が追加されました。さらに、ゲームバランスの改善をしたリメイク版が発売されれば、若年層にも人気が出る可能性が十分にあります。

『たけしの挑戦状』のタイトル画面

現代の人気ゲームと似ている? 80万本の大ヒットとなったタイトル

 あまりに理不尽なゲームシステムで有名になった『たけしの挑戦状』も、思わぬところにリメイクの余地を秘めています。同作は1986年に発売されたアクションアドベンチャーで、80万本を売り上げる大ヒットとなったにもかかわらず、難易度があまりに高く、公式が「伝説のクソゲー」と銘打っているほどです。

 主人公は妻と子供の3人で暮らす普通のサラリーマンですが、作中の登場人物たちがとにかく凶暴です。ヤクザ、警察官、さらには自宅にいる妻子までが主人公に殴り掛かってくるほか、背景扱いではないキャラであれば、倒すことで金を奪えるという荒々しい世界観です。

『たけしの挑戦状』の世界観は、近年に人気を博したゲーム『Grand Theft Auto V』の秩序が機能しない大胆な世界観に共通しており、「リメイクして発売すれば売れるのではないか?」とレトロゲーマーの間で期待する声があがっています。なお、『たけしの挑戦状』は新エリアや要素を追加したスマホ版が配信されており、ゲーム機を持っていなくてもプレイ可能です。また、難易度を下げたモード、さらに難易度を上げたモードがオプションで購入できます。

 時代が進んで過去のタイトルが高クオリティでリメイクされるのは、珍しい話ではなくなりました。かつては問題作といわれたタイトルにも、生まれ変わる機会が訪れるかもしれません。