「私の同僚、『去年の秋に日本を旅行してから日本ファンになって、オーストリアに戻ってからも日本語練習したり日本食食べたりしてるの』って言ってたから、まあ家でスモークサーモンとか使って寿司もどきでも作ってんのかなと思ってたら、なんかガチだった」

たまごかけごはんに、納豆、味付け海苔、お味噌汁、お漬物、日本の旅館で出されたのでは?と思うような朝食の写真が話題を呼びました。

日本旅館風の和ごはんセットを作り、写真を撮ったのは日本びいきのオーストリア人女性。同僚であるオーストリア在住のバイオリニストばよりん弾き@ドイツ語勉強中さん(@bayorinhiki 以下、ばよりんさん)は、この写真を見て、驚き、感心し、X(旧Twitter)に上記コメントとともに投稿。

「ここまで完璧な朝食自分ですらしたこと無い!」
「TKGイケる外国人は相当ガチ」
「真剣に日本文化や日本語を学んでいる姿勢に感心します」
「生卵、納豆、沢庵の3点セット! 一線超えてしまったのですね」
「ご飯を左側、お味噌汁を右側に置けば完璧だった」
「卵かけご飯に醤油、七味少々、ごま油を少し垂らして食べちゃダメだと伝えて下さい(美味すぎて止まらない組み合わせ)」
「日本の最終兵器、梅干しは海外で手に入るんだろうか?」などのコメントが集まりました。

オーストリアの日本食事情は?日本食に惹かれるのはなぜ?ばよりんさんとばよりんさんの同僚女性に取材しました。

日本食はすべてがすばらしい!とべた褒め 

日本食ブームもあり、寿司やラーメン、餃子はウイーンに暮らす人々にもおなじみ。「日本食の材料は大抵手に入ります」とばよりんさん。しかし、とても高額で、例えば、味噌なら安いもので1キロ2400円程度(500gで約1200円)、日本産味噌は1キロ 10000円近くするとのこと。写真にある生卵も、日本のように衛生管理されているものばかりではないため、食べる際はサルモネラフリーの卵を選んでいるとのこと。

ばよりんさんによると、写真を送ってきた同僚女性は「もともと料理上手」。コンサートのメンバーとして日本を訪れ、日本食に魅力を感じるようになったそう。

同僚女性は、「日本で食べた料理は、豊かな味わいがあって、寿司、ラーメンや餃子以外の日本食にどんどん興味を持つようになりました」と話します。オーストリアに帰国後も日本食を食べられるよう、日本滞在中に食材を購入。また、帰国後も日本の食材を取り扱っているマーケットに足を運び、お気に入りの食材調達を欠かしません。

なぜ、そこまで日本食に惹かれるのか、その理由を問うと「日本の料理と日本人の食に対する姿勢には好きなところがたくさんあるのです。素晴らしいと思ったのは、食べものとその産地を重んじる姿勢。この姿勢は料理する際にも顕著に表れていると感じます。食材の本来の美味しさを守り、さらにその良さを引き出しているのではないでしょうか」。

また、料理の質の高さにも驚かされたそうで、「敬意と感謝を持って食されているなと感じました。それに、日本食は健康的!バラエティに富んでいる上、バランスが取れており、味も素晴らしい。しかも、ひと皿ひと皿がとても上品で、芸術的ですらあります。日本食は舌も心も幸せにするんです」。

さらに、「食べ終わった後も、長時間満腹感を与えつつ、食後に疲れを感じることもありません。むしろ活力を与えてくれます。日本の食文化については、語りつくすことはありません」と褒めたたえます。

一方、日本で生まれ、現在はオーストリアを拠点に音楽活動を続けるばよりんさんにとって日本食は「故郷のようなもの」。海がないオーストリアに住んでいると新鮮な海の魚の料理が恋しくなるそうです。

また、小さい時に母が作ってくれた煮物や魚料理にも特別な思いがあります。「私は、基本的に何でも食べられるのですが、日本食を食べるとなんというか“腑に落ちる”に近い感覚になります。ぴったりハマるというか、すっと受け入れられるという感じ。生まれ育った場所の食べ物は体だけでなく心も作っているような気がします」。

日本にルーツを持たない人、日本人、それぞれに特別な感情を抱かせる日本食。あなたが好きな日本食は何ですか?

2025年5月には、記事で紹介したこの同僚女性を含む、たくさんの日本ファンのミュージシャンから成るTonkünstlerorchester (トーンキュンストラー・オーケストラ)が、音楽監督を務める指揮者・佐渡裕とともに日本ツアー(詳細は、ばよりんさんのXまたはブログへ)を開催予定。まだまだ奥が深い日本食の新たな一面に出会って欲しいものです。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)