水俣病の患者・被害者団体の発言中に環境省がマイクの音を切って遮断した問題を受け、立憲民主党の国会議員ら16人が20日、熊本県水俣市を訪れ、被害者団体からヒアリングをした。団体側は現行法では未認定患者らを幅広く救済できないとして、議員立法による新たな救済策を要望。同党の環境部門の近藤昭一衆院議員は「全面解決の一歩目として、本国会中の法案提示を目指す」と述べた。

 新たな法案の内容について、会見で近藤議員は「伝えられる段階ではない。聞かせてもらったことを踏まえて検討する」と説明した。同党の野間健衆院議員(鹿児島3区)は報道陣の取材に「まずは未認定患者が救済される内容を目指す。この機会に解決できるよう決死の覚悟で取り組む」と話した。

 マイクを切られた水俣病患者連合の松崎重光さん(82)を支援する永野三智さん(40)は、ヒアリングで「70年近い思いを絞り出し、人生をかけてあの場に臨んだ。あの仕打ちをうけても、松崎さんは国を信じている」と訴えた。

 未認定患者救済のために、水俣病特別措置法が2009年に施行されたが、申請は12年7月に締め切られた。対象外とされた人々が国などに損害賠償を求めて各地で提訴。昨年9月以降、大阪、熊本、新潟の3地裁で原告の罹患を認める判決が相次いでいる。