鹿児島県警の捜査情報を第三者に漏らした疑いで、現職警察官が逮捕された事件を巡り、県警本部で20日あった調査結果の会見では野川明輝本部長が説明、謝罪した。県警によると、本部長が直接説明した前例はない。事態を深刻に受け止めたとみられる。一方で漏らされた被害者が県警の謝罪対応を批判している点については「今後も被害者の心情に配慮し、真摯(しんし)に対応する」と述べるにとどめた。

 西畑知明警務部長と牛垣誠首席監察官も同席した。漏えいした経緯など詳細については「捜査の根幹に関わる」として明かさなかった。

 記者からは漏えい先や情報管理体制、被害者対応などに質問が相次いだ。「これ以上の漏えい拡大はないか」と問われた西畑警務部長は、言葉を選びながら「拡散の状況は特定できていない部分がある。さらに広がる可能性は残っている」とこぼした。

 今後も捜査を続けるかどうかについては「回答を差し控える」と明言を避けた。

 被害者への通知と謝罪は電話を使っていると説明。一部の被害者から上がる「不誠実だ」といった批判の声に対して、西畑警務部長は「さまざまな意見があることは承知している。速やかに確実に通知を行うべく、今回は電話を用いた」と強調した。今後の被害者との接触の有無や連絡の予定については「検討する」とし、具体的な回答はなかった。

 野川本部長は、現職警察官が相次いで逮捕される原因として「警察官と県民との意識の乖離(かいり)」を挙げた。「異常事態に向き合う環境に日々置かれている警察官の意識と、県民の常識にはずれが生じかねない」とした上で「警察官としての自覚を持たせるため、組織としてサポートを続ける」と言及。「抜本的な改革のため、今後は部門横断的なプロジェクトチームをつくり、対策を進めていく」と述べた。