企画展「コレクション展2024」が4月20日、足利市立美術館(足利市通2)で始まった。(足利経済新聞)

 浅川コレクション 未公開の作品を中心に展示する

 1994(平成6)年4月に開館し、30周年を迎えた同館。開館30周年記念の第1弾として、同館の5000点を超えるコレクションの中から、2つのテーマを柱に企画展を開く。

 第1部は「南画 憧れた景色へのかけ橋 −大山魯牛(ろぎゅう)を中心に−」をテーマに展示を行う。中国から流入した南宗画や文人画に日本のアレンジが加わった「南画」がどのようなものであるか、大流行した後、時代の経過とともに人気が下火となる中、存続・再興のため、画家らが行った取り組みがどのようなものであったかを作品を通じて考察する。足利出身の大山魯牛の作品を中心として構成することで、魯牛の画業をたどり、南画への試行錯誤の様子を見ることができる展示になっている。併せて「南画」のエッセンスを継承する現代作家の作品も紹介する。

 第2部は「前衛のかなたへ 浅川コレクションと現代の美術」をテーマに、美術商として長期にわたり美術品に関わってきた浅川邦夫さんから寄贈を受けた作品を展示する。前期・後期で入れ替えを行い、未公開の絵画・立体など約80点を新たに紹介する。浅川さんは、日本の現代美術ギャラリーの草分けの一つである南画廊(東京都中央区)に開業から12年余り勤務し、その後、画廊春秋を開設。以後35年にわたって経営した経歴を持つ。多くの作家らと出会い、作品の誕生の場に関わってきたことが、質と量を伴うコレクションの形成につながったという。同館では過去2回、同コレクションに関連した展示が開かれたが、今回の企画展を機にさらに189点の作品が寄贈された。現在、同館所蔵の「浅川コレクション」は900点を超える。

 同館の学芸員、手呂内孝憲さんは「スランプに陥りながらも試行錯誤し、南画を描き続け、突破口を見出した魯牛の画業を展示でたどってほしい。南画はとっつきにくいと感じるかもしれないが、現代アート作品にその精神やエッセンスが受け継がれている。南画に親しんでもらうきっかけになれば」と来館を呼びかける。

 開催時間は10時〜18時(入館は17時30分まで)。月曜休館(祝休日の場合は翌日)。入館料は、一般=710円、高校・大学生=500円、中学生以下無料。6月30日まで。