伏見の藤森神社(伏見区深草鳥居崎町)の「神幸祭」が5月5日、開催された。(伏見経済新聞)

 みこし巡行の様子

 藤森神社は約1800年前、神功皇后によって創建された皇室ともゆかりの深い古社。菖蒲(しょうぶ)の節句発祥の神社としても知られ、現代では「勝運と馬の神様」としても有名。毎年6月にはアジサイの名所として多くの観光客も参拝する。

 藤森祭(深草祭)は863年に清和天皇の勅(みことのり)を奉じて行った「深草貞観の祭」が始まりで、古来旧暦の5月5日に行われている。当日は7時から神幸祭が執り行われ、9時から女みこし、深草郷、東福寺郷、宮本下之郷のみこしが出発し氏子地区を渡御した。

 午後には境内で駈馬(かけうま)神事が行われた。駈馬神事は奈良時代に早良親王が陸奥の反乱に対し、征討将軍の勅(みことのり)を受けて出陣した際に行った儀式を再現。1200年前から行われている祭事で、京都市の無形民族財にも登録されている。境内を全速力で駆け抜けながら、敵の矢を避けるように疾走する「手綱潜り」や姿を隠して駆ける「横乗り」など7つの技に挑んだ。味方に情報を伝えるために馬に乗りながら筆で文字を書く「一字書き」では見物客から歓声が上がった。

 前日の4日には5日の神幸祭では回りきれない町内までみこし・太鼓・子どもみこしをトラックに載せて巡行した。深草郷神輿(みこし)保存会の井上雅晶会長は「コロナ禍でみこしを担げず苦肉の策でトラック巡行したとき、時間的、道の広さ的にみこしが入れない地域を回り喜んでもらえたので、昨年から4日はトラック巡行にしている。この地に生まれたらゴールデンウイークは地元貢献」と話す。