2024年5月9日から12日(現地時間)、FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリー・ポルトガルが北部の大都市ポルト近郊の町「マトジニョス」を起点としたグラベル(未舗装路)を舞台に開催される。今シーズンはここまでトヨタとヒョンデが互角の戦いを見せており、ドライバーズ選手権も大混戦となっている。ラリー・ポルトガルは9月末の第11戦ラリー・チリまで7戦続くグラベル(未舗装路)ラリーの初戦で、この後のシーズンの展開を占う意味でも重要なイベントとなる。

ここまでヒョンデ2勝、トヨタ2勝。2強が互角の戦い

2024年の世界ラリー選手権は、ここまでヒョンデ2勝、トヨタ2勝で推移。今シーズンから新しいポイントシステムが導入されたが、マニュファクチャラーズポイントでも互角の戦いとなっている。

一方、ドライバーズ選手権も、ティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)、エサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)、カッレ・ロバンペラ(トヨタ)、セバスチャン・オジェ(トヨタ)と毎戦ウイナーが入れ替わる混戦模様。まだ複数回勝利をあげたドライバーはいない。

トヨタはこのラリーに、カッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス、セバスチャン・オジェ、勝田貴元の4台がエントリー。今季初めてフルメンバーでのぞむ。一方のヒョンデは、ティエリー・ヌーヴィル、オイット・タナックに、グラベルを得意とするダニ・ソルドの布陣で対抗する。

●2024年 WRCマニュファクチャラーズズランキング(第4戦終了時)

1位 トヨタ 176
2位 ヒョンデ 169
3位 Mスポーツ・フォード 96

●2024年 WRCドライバーズランキング(第4戦終了時)

1位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)86
2位 E.エバンス(トヨタ)80
3位 A.フルモー(Mスポーツ・フォード)59
4位 O.タナック(ヒョンデ)53
5位 S.オジェ(トヨタ)45
5位 勝田貴元(トヨタ)45
7位 K.ロバンペラ(トヨタ)31
8位 E.ラッピ(ヒョンデ)23

昨年はライバルが後退する中、トヨタのロバンペラが完勝

昨年のラリー・ポルトガルはトヨタのカッレ・ロバンペラが完勝。初日にあっさりと首位を奪うと、エルフィン・エバンス(トヨタ)が序盤でリタイア。さらに、オィット・タナック(Mスポーツ・フォード)がパンク、ティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)もターボトラブルに見舞われて後退、とライバルたちが苦戦する中、ロバンペラは最終パワーステージでもベストタイムをマークし、フルポイントとなる30点を獲得した。

●【参考】2023年 WRC第5戦ラリー・ポルトガル 結果

1位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)3h35m11.7s
2位:D.ソルド(ヒョンデ i20 N ラリー1)+54.7s
3位:E.ラッピ(ヒョンデ i20 N ラリー1)+1m20.3s
4位:O.タナック(フォード プーマ ラリー1)+2m04.1s
5位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20 N ラリー1) +8m22.5s
6位:G.グリーンスミス(シュコダ ファビア RS ラリー2)+9m43.4s
7位:O.ソルベルグ(シュコダ ファビアRS ラリー2)+9m44.6s
8位:A.ミケルセン(シュコダ ファビア RS ラリー2) +10m26.4s
9位:Y.ロッセル(シトロエン C3 ラリー2))+11m33.2s
10位:T.スニネン(ヒョンデ i20 N ラリー1)+12m16.3s
・・・・・・・
33位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)

さまざまな状況が待ち受けるチャレンジングなラリー

ラリー・ポルトガルは1973年のWRC初年度からシリーズに含まれてきたクラシックイベントのひとつ。流れるようなコーナーが連続するハイスピードなステージと荒れた路面が続くチャレンジングなステージの両方があり、グラベルでのクルマのパフォーマンスを見る上で最適なラリーであると言われている。

ステージの路面は1回目の走行時と2回目の走行時でコンディションが大きく変わることが大きな特徴で、出走順が大きなファクターとなる傾向があるが、時に強い雨が降ることもあるなど天候にも大きく左右される。

それでも伝統的なラリーだけにトップドライバーはステージを熟知しているので、ペースは非常に速く、かなりの接戦になることが予想される。

ラリーは9日の夕方、ポルトガル北部の古都コインブラでセレモニアルスタートが行われ、その後、午後7時過ぎから大西洋に面するリゾート地「フィゲイラ・ダ・フォス」に移動。SS1として2.94kmのスーパーSSが1本行われ、戦いの火蓋が切って落とされる。

本格的な戦いは10日のデイ2から始まり、コインブラの東側エリアで4本のステージを各2回走行。デイ2はミッドデイサービスが設定されず、簡便な整備作業のみで8本合計126.90kmのステージを走りきる。

11日のデイ3は、サービスパークの東北エリアに広がるカブレイラ山脈の周辺で4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その後、ラリークロスサーキットで名物のスーパーSSが行われデイ3は終了。9本のステージの合計距離は145.02kmと4日間で最長の一日となる。

12日の最終日デイ4は「カベセイラス・デ・バスト」、大ジャンプで人気の「ファフェ」の2本のステージをミッドデイサービスなく各2回走行。最終ステージとなるSS22「ファフェ」の2回目は、トップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されている。

ラリーは4日間で22本のSSを走行し、その合計距離は337.04km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1690.12kmとなる。