クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』(23)が、3月29日(金)より日本公開される。すでに全世界で9億6,000万ドルの興行収入を上げる大ヒットを記録し、第96回アカデミー賞では、作品賞、監督賞ほか7部門を受賞。その日本公開を記念して、MOVIE WALKER PRESSでは「あなたのマイベストノーランを教えてください!」という投稿キャンペーンを実施中。ノーラン作品を愛するファンたちの思い入れがあふれるコメントを、ラインキング形式で紹介する。
※集計結果は3月20日時点のものです。

■1位はIMAX撮影による映像に世界が驚いた『インターステラー』

最多得票を獲得したのは、マシュー・マコノヒーとアン・ハサウェイが共演し、環境の変化などの影響で滅亡の危機を迎えた人類が新たな星を目指す姿を描いたSF大作『インターステラー』(14)。「相対性理論と量子力学をテーマとして宇宙を舞台に繰り広げられる壮大な物語です。しかし、この映画に込められた真のテーマは『人間の愛』という一つのメッセージを感じました」というコメントが訴えるとおり、本作は感動作として多くの観客の心に響いた。「途中、あるシーンで思いもよらない号泣。そこから予想外のサスペンスが展開されながら、終盤の深遠なテーマまで、見事に誘(いざな)われる」「すべての謎がつながるラストは鳥肌ものでした」「宇宙と時間へのロマンが詰まった大好きな作品。手に汗握る展開やせつなくも温かい家族愛に泣かされます。正直レベル100%、最高です!」「時空を超えるすばらしい家族愛のお話でした」などエモい意見が寄せられるのも納得。また、IMAX撮影による迫力の映像にも「波のシーンはIMAXで見て感激しました。忘れられない体験です」「当時、映画館で見てブラックホール突入シーンで度肝を抜かれました」などの声が寄せられた。

■2位はアメコミ映画の歴史を変えた『ダークナイト』

2位にランクインしたのは『ダークナイト』(08)。ノーラン版「ダークナイト」トリロジーの第2作の醍醐味は「DCのヒーロームービーがこんなにもハードな暗い映画になるのは予想もつかなかった。主人公の苦悩がリアルに伝わってきて納得のできばえでした」というコメントに集約されている。「ヒーロー映画は苦手だったのですが、『ダークナイト』を見てから考え方が変わりました。単純な正義対悪の構図になっておらず、倫理観が複雑化しているため奥深い作品だと思います」「『バットマン』シリーズは以前から好きで、ほかの監督の作品も見ていたが、ノーラン監督の作品を見て監督によってこんなにも作風って変わるのかと衝撃を受けました」「単なるコミックのヒーローと悪役の対決映画から社会性のある映画に昇華した作品」など、そのアメコミ映画としての独自性を賞賛する声が殺到。「ジョーカーは自分の中にいるかもと感じた」「ジョーカーのサイコぶりがすごかったです」など、バットマンの最大の敵であるジョーカーへの賛辞も多数見受けられた。映画公開前にジョーカー役のヒース・レジャーが急死したが、本作の世界的ヒットを受けて故人としてアカデミー賞助演男優賞を受賞したことも記憶に残っている。

■3位に輝いたのは鑑賞時のインパクトが高かった『インセプション』

3位はレオナルド・ディカプリオと渡辺謙が共演した『インセプション』(10)。他人の夢の中に入り込むエージェントたちの奔走を描いた本作は、ノーラン作品の中でも複雑で難解だが、それでも上位の投票数を獲得。「初めて見た時の衝撃は忘れられません。ノーラン監督の中で一番好きな作品です」「当時見たことの無い映像技術やアクションやストーリーの展開に衝撃を受けた作品」など、鑑賞時のインパクトの大きさを物語るコメントが並ぶ。「『夢の中の夢』という独特の設定や、ホテルの廊下がグルグル回転したりビルが立ち上がったりする視覚的にもおもしろい映像に加え、世界中を旅している様な感覚にもなるストーリーがお気に入りの理由です」「あり得ない映像をあり得る映像として見せる異次元の再現力、何度も繰り返し見て新たな発見を繰り返し答えを見つけて行く楽しさが抜群におもしろかった」など映像の凄みを推す声も多数。

■4位はリピート鑑賞の喜びを教えてくれた『TENET テネット』

4位はジョン・デヴィッド・ワシントンが主演し、“時間逆行”をテーマに描いたタイムサスペンス『TENET テネット』(20)。『インセプション』の迷宮をさらに進化させたような作品がランクイン。「『インセプション』でこれ以上難解なストーリーを楽しく見れる映画はない!と思っていたのにこれを越える『TENET テネット』が出てきてもう大好きになりました。何周も見た!」「1回目よりも2回目3回目と見れば見るほどおもしろくなる作品で、何度も見ました!ラストの伏線回収が快感です!」と、ファンの熱い声が連なる。『インセプション』もリピーターの多い作品だったが、「映画を見ると言うより、新しい体験をしたと思える映画。何回見ても頭を刺激されます」「これは1度見ただけでは理解できないおもしろさが凝縮している作品。まず2度以上見て内容を毎時回収して自分の中で構築するモノでノーラン監督の独特な映像、音響がドクドクとしみる映像体験」「最初見た時、なんだこの映画は!?と思ったのは初めてだった。ノーランの頭の中をのぞき見できることの幸せが襲ってくる映画だと思う」などのコメントが寄せられておりと、本作の中毒症状は『インセプション』以上なのでは…と思えてくる。

■5位はリアリティあふれる没入感に圧倒された『ダンケルク』

5位は第二次世界大戦の有名な撤退作戦を再現した『ダンケルク』(17)。「IMAXの臨場感がすばらしい」というコメントは、高評価の理由を端的に物語る。「陸海空の視点で繰り広げる世界大戦に生唾を飲む」「IMAX作品は最後列で鑑賞すべしと教えてくれた作品。驚きの映像と音響に圧倒され、完全に乗り物酔い状態。危険な作品です(笑)」「『迫力』という言葉を使うのが悔しいほどの圧倒的な映像に心を奪われました」など、映画への没入感をうかがわせるコメントが並ぶ。また、「陸海空の別の場所での出来事が、それぞれ時間も違って描かれていくが、最後には一つに収束する。まったく違和感なく、入ってくる。見ている時の緊張感は半端なく、実際その場にいるような、ハラハラしながら見た。最後には達成感のような清々しいような気持ちになった。すばらしい作品だと思う」「同じ歴史的な事実を、複数の登場人物の視点から撮った群像劇として描き、ある一時点を『同時』に設定し、数日だったり数時間だったり1時間だったりするそれぞれの物語を1本の映画にまとめたその構成力に、震えました」など、巧妙に練られた構成を賞賛する意見も多い。


■6位はノーランお得意の時間逆行のファーストインパクトとなった『メメント』

6位は、ガイ・ピアース演じる“10分しか記憶を保てない”男が妻を殺害した犯人を捜そうと奔走するミステリースリラー『メメント』(00)。日本に初めて上陸したノーラン作品をファーストインパクトとして高評価する声も少なくない。「最初のノーランとの出会い、ファーストカットのリバースシークエンスから味わったことのない感覚を覚えています」「なんといっても、ストーリーを逆回転で観せる手法が衝撃でした。私にとってのノーラン作品ベスト1です」など、熱量高めの声が並ぶ。『TENET テネット』へと発展した時間逆行のアイデアも秀逸で、本作もリピーターは多い。「時間軸をすべて逆転させる、クリストファー・ノーランはすべてを逆行することで究極のリアリズムを体現した稀有な存在。スタンリー・キューブリック亡き今、映画界で商業的、アートとして成功しているノーラン監督の原点は映画的要素がすべて詰まった色褪せない傑作」「最後の大どんでん返しがすごいノーラン作品の中でも、ラストの終わり方が一番衝撃的でした!」という声を聞くと、もう一度見直したくなるファンも多いのでは?

■7&8位はバットマンの魅力を再発見させてくれた「ダークナイト」トリロジー

7位は「ダークナイト」トリロジー第1作『バットマン ビギンズ』(05)、8位はトリロジー最終作『ダークナイト ライジング』(12)がランクイン。『バットマン ビギンズ』には、「論理的かつ超現実的観点からバットマンの存在を見事に捉えている。ブルースの内面を奥深く共感できるところまで磨き上げており非常に没入感がある」「ヒーローものにはあまり興味がないのですが、バットマンは傷つきながらそれでも自分の正義を追求していく姿がとても格好良くて、3部作あっという間に見てしまいました。唯一シリーズ完走したヒーローものです。バットマンは私にとって一番のヒーローです」というコメントが。『ダークナイト ライジング』には、「冒頭の旅客機のシーンは自分の映画鑑賞史上一番衝撃的な体験でした。そして最後のアルフレッド(マイケル・ケイン)のシーンに涙が止まらなくて困りました。すべての作品が好きで選ぶのが苦しいですが初見時の感動が一番大きかったのは本作です」「全編を通しての緊張感!そして、ラストの高揚感!最高すぎる!」などのアツい声が寄せられている。

■9〜11位はノーランの映像スタイルに脱帽した初期作など

9位はヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが人気マジシャンを演じた奇想天外なミステリー『プレステージ』(06)、10位はアル・パチーノが不眠症の警察官を演じたサスペンススリラー『インソムニア』(02)、11位はノーランの長編映画監督第1作『フォロウィング』(98)。『ダークナイト』で大ブレイクする以前の作品が鑑賞者数の差で下位に来てしまうのは仕方がないところだが、それでも見逃せない作品には違いない。『プレステージ』には「脚本、カメラワーク、色彩、すべてが完璧で最後まで完璧」「やっぱりノーランと言えば『フィルム』+『時間』+『リアル』だよね。あと『過去に囚われた男』。それらが全てある一本」という賛辞のコメントが。ノーランのハリウッドメジャースタジオでのデビュー作となった『インソムニア』には「アル・パチーノ×ロビン・ウィリアムズの演技合戦、白夜に追い込まれる感覚を味わえる」「不安を煽る天才」という声が寄せられた。

最後に、いよいよ日本公開を迎える最新作『オッペンハイマー』。本作でノーラン監督は、第二次世界大戦下、“マンハッタン計画”に参加して原子力爆弾を開発し、世界の命運を握ったとされる天才科学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を描きだす。ファンから『オッペンハイマー』に寄せられた期待のコメントも紹介しよう。「日本国民として、世界国民としてと様々な視点の角度から見ると見方が変わり、すばらしい作品であった」など、すでに海外で鑑賞したファンからの声もあり、期待は高まる。日本で公開を待つファンからも「見るたびに、ベスト作を更新させてくれるノーラン監督。『オッペンハイマー』もそうであるに違いない」「やはり最新のクリストファー・ノーラン!これまでの集大成!」などのコメントも熱い。シリアスな題材だけに、「日本人としては、すごく複雑で難しい題材だということはわかっているのですが、私は日本人だからこそ、この目で見て、そしてきちんと考えなければならないと思っています」「昨今世界中で紛争中の国々のニュースを日々見聞きするなかで日本人として改めて過去、現在、未来への戦争そして原爆に対する考えを深めたいと思いました」といった声も。いずれにしても、必見の注目作であることは間違いない。

文/相馬学