アイナ・ジ・エンドの初となる写真集発売を記念した写真展「アイナ・ジ・エンド photo exhibition ‐幻友‐」が、PARCO MUSEUM TOKYO (パルコミュージアムトーキョー)で3月29日(金)〜4月15日(月)まで開催される。3月28日にはアイナが会場で行われた会見に出席した。

本写真展は、アイナ初となる写真集「アイナ・ジ・エンド1st写真集『幻友』」の発売を記念して、写真家の興梠真穂が撮影したアイナの歩んだ約10年間の軌跡や、飾らない日常風景を写真展として表現したもの。展覧会に合わせて本人が作詞作曲した展覧会オリジナル音源を聴きながら、その世界観を楽しむことができる。

「人生で初めて写真集を出させていただくことになった」と切りだしたアイナは、「しかも10年来の友だちが撮ってくれている写真でいっぱいのもの」と親友であるフォトグラファー、興梠真穂との縁について告白。「写真集を出すとは思っていなかったんですが、それを視覚でも表現した展覧会をパルコさんで行っていただける。10年分の愛がギュッと詰まった、一言では語れないような空間になっています」と本展に注がれている並々ならぬ想いを語った。

写真集の「幻友」というタイトルも印象的だが、それは興梠の発した言葉がきっかけとなり生まれたものだという。「真穂が『初恋に似た親友だよね』という言葉をくれた。その言葉は自分にとって、すごく納得がいった。語り尽くせないような深い関係だなと思っていた」と2人の関係性について説明しつつ、「『初恋に似た親友』と聞いて、(写真集には)自分も真穂みたいな、カテゴライズしない言葉をつけたいなと思った。真穂の真似っこをして、『幻友』とつけてみました。初恋も親友もふわっとしていて、自分にとってははっきりしなけれど、とても大切な存在。幻みたいだなと思ったので、“幻”という文字は使いたくて。『その後に続く文字はなにがいいかな』と真穂に相談して、『幻友』にしました」とタイトルにもカメラマンとの軌跡が詰まっている様子。「誰かにとっての『幻友』も心の浮かべて、写真集を見てもらいたい」と願いを込めていた。

お気に入りの写真について聞かれると、2015年から2023年6月まで活動していた6人組ガールズグループ「BiSH」に入ってから「2、3ヶ月目くらいの時に真穂が撮ってくれた写真」だというアイナ。「古い写真ですが、撮った時の温度感も覚えている。すごくお気に入りです。当時、自分があまり『かわいい』と言われて育っていない人生だったので、友だちに『かわいい』と言われながら写真を撮られたのが初めてだった。そういう言葉をちゃんと投げかけてくれるのが、真穂だった。肯定してくれた気がして、あの日の撮影はすごく温かい撮影でした」と懐かしんだ。

また撮影中におでこを30針ほど縫う怪我を負った、2023年当時の写真も収められた。アイナは「30針を縫う怪我をして、『BiSH』のライブを延期してしまった。当時の『BiSH』は東京ドームで解散する何ヶ月か前でみんなはすごく意識が高まっている時なのに、自分が足を引っ張ってしまった。もどかしくて、ふがいない気持ちだった。顔も腫れて辛いし、混沌とした日々だった」と回想。「生きていくのもちょっと辛いなと思っていたタイミングで、真穂がよく家に来てくれていた。顔も腫れていて普通は怖がると思うんですが、微笑みながらそばにいてくれる変わらないやさしさがあった。『真穂になら写真を撮ってもらってもいいかも』と初めて思った。ちょっと腫れが引いたタイミングで、撮ってもらいました。真穂しか撮ってもらいたくない写真だったので、今回飾らせていただきました」とこちらも思い出深い写真だと話す。

俳優、ダンサー、シンガーソングライターなどあらゆる方面で飛躍しているが、9月には初の日本武道館公演も控えている。「ずっと憧れだった。アイナ・ジ・エンドとして立てる日が来るというのは、心の底からうれしい。いまより精進して、後悔のないパフォーマンスをしたいなと真面目に思っちゃいます」と意気込みを吐露。肩書きについて「カテゴライズは難しい」と思案しながら、すべてにおいて原動力となるのは「人が好き」ということだと打ち明けたアイナは、「人が話した言葉をもらって曲を作るのも好きだし、初めて会う人がいる状況で即興のパフォーマンスをするのも好き。(初主演映画)『キリエのうた』も(監督の)岩井(俊二)さんが好きだったから。人と繋がり続ける方法が、自分にとって表現すること。全部好き」と想いをあふれさせていた。

表情豊かな瞬間をたくさん捉えた写真集となり、「変顔は得意です」と茶目っ気たっぷりに笑ったアイナ。「写真集にも写真展にも、アイナ・ジ・エンドになる前からの写真もあるんです。私が、アイナ・ジ・エンドだと思って写っていない。それが一番の魅力。女の子が女性になる過程を10年間撮ってくれた。そういう空間です」と愛情を傾けていた。

取材・文/成田おり枝