5月10日から5月12日までの全国映画動員ランキングが発表。ゴールデンウィークを圧倒的な強さで駆け抜けた『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(公開中)の快進撃は、GWが終わった今週もまだまだ続く。2位に大きな差をつけて首位を守り抜き、『名探偵コナン ゼロの執行人』(18)以来6年ぶりに“5週連続No. 1”を飾った。

■世界的人気シリーズ最新作が『名探偵コナン』を猛追!

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の公開5週目の週末3日間の成績は、観客動員36万2000人、興行収入5億3400万円。GW終盤で大きなブーストがかかった前週と比較すると、動員・興収共に32%。3分の1に満たない大幅なダウンに見舞われることとなったが、これは時期的に避けられないもの。それでもまだ週末だけで5億円の興収を稼ぐだけの勢いを保っている。

累計成績では動員が898万人、興収が128億円を突破。前作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(23)が打ち立てたシリーズ最高興収の更新まではすでに10億円を切っている。同作はGW明けの週末時点での累計成績が動員783万人・興収111億円だったので、まだまだ大きなリードがある。ちなみに日本歴代興収ランキングでは、『ジュラシック・パーク』(93)を抜き去り27位まで浮上している。

そんな『名探偵コナン』の牙城を崩さんとばかりに、今週は新作タイトルが続々公開され、トップ10圏内に4本の新作がランクインした。そのなかで最上位の2位でスタートしたのが、「猿の惑星」シリーズの最新作となる『猿の惑星/キングダム』(公開中)だ。

“猿に支配された惑星”を舞台に、その衝撃的なラストで伝説として語り継がれる『猿の惑星』(68)から始まったこのシリーズは、その後1970年代前半に4本の続編が制作され、2001年にはティム・バートン監督がシリーズ第1作の“リ・イマジネーション”に挑戦。そして2011年からは、すべての前日譚を描くリブートシリーズが新たにスタートした。

遺伝子技術が進化した現代で、アルツハイマーの治療薬の実験台にされた猿から生まれたシーザーが独自の進化を遂げていく『猿の惑星:創世記』(11)。その10年後に人類の9割が死滅した世界を舞台に、かつて人類に虐げられた猿たちが立ちあがる『猿の惑星:新世紀』(14)、そして人間と猿との戦いが激化する『猿の惑星:聖戦記』(17)とリブートは3部作で展開。今回の『猿の惑星/キングダム』は、そのシーザーによる“復讐3部作”から300年後の世界を舞台に、新たな章の幕開けとなる。

初日から3日間の成績は動員18万2000人、興収2億7100万円。前作の公開時までは週末成績は土日2日間で発表されていたため正確な比較はできないが、『聖戦記』と『新世紀』は共に土日2日間で15万人弱の動員と約2億円の興収を記録している。それを踏まえれば今作もそこから大きく数字は落としてはおらず、半世紀以上続くこの「猿の惑星」シリーズがいまなお一定の支持を集めていることがよくわかる。

今回はリブート3部作の“その後”ではあるものの、過去のシリーズ作とは直結しない新たなストーリーが紡がれていることで、新規ファンの獲得にもつながっているようだ。しかも前作からの7年余りの期間で配信サービスが隆盛を極め、過去作にも容易にアクセスができるようになったことは本作のような長期シリーズにとって大いにプラスに働いていることだろう。

■『鬼平犯科帳 血闘』から「ウマ娘」まで、バラエティに富んだ日本映画3作品が初登場

ほかの新作3タイトルはいずれも日本映画。5位にランクインしたのは池波正太郎のベストセラー小説を、十代目松本幸四郎を主演に迎えて映画化した『鬼平犯科帳 血闘』(公開中)。こちらも「猿の惑星」シリーズ同様、1970年代から半世紀以上にわたって何度も映像化が繰り返されてきた人気作だが、映画版が製作されるのは実に29年ぶりとなる。

十代目松本幸四郎が長谷川平蔵役を演じたこの“新たな鬼平”シリーズは、今年1月に放送されたテレビドラマスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」からスタート。今回の映画版を経て、今後更なる続編となる連続シリーズ「鬼平犯科帳 でくの十蔵」が6月8日(土)から、「鬼平犯科帳 血頭の丹兵衛」が7月6日(土)から時代劇専門チャンネルにて放送予定。世代を超えて愛されてきた「鬼平犯科帳」シリーズのさらなる進化に注目が集まるところ。

6位には、2016年のローンチ以来拡大を続けているメディアミックスプロジェクト「ウマ娘」の、YouTubeチャンネルで配信されたアニメ全4話に新規シーンを追加した『劇場用再編集版 ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』(公開中)がランクイン。5月24日(金)からは初の映画作品となる『劇場版 ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』が公開を控えており、それに向けて幸先の良いスタートを切った模様。

そして10位には、乃木坂46の一期生として活躍した高山一実がグループ在籍中に小説家デビューを飾ったことで話題を集めた同名小説を、「SPY×FAMILY」などで知られるCloverWorks制作でアニメーション映画化した『トラペジウム』(公開中)がランクインしている。

既存の作品では『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』(公開中)が前週よりワンランクアップの3位となり、累計成績では動員107万人・興収14億円を突破。また公開3週目で4位となった『ゴジラxコング 新たなる帝国』(公開中)は、累計成績で動員97万人・興収14億円を超え、動員100万人の大台突破に王手をかけた。

以下は、1〜10位までのランキング(5月10日〜5月12日)
1位『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』
2位『猿の惑星/キングダム』
3位『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』
4位『ゴジラxコング 新たなる帝国』
5位『鬼平犯科帳 血闘』
6位『劇場用再編集版 ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』
7位『青春18×2 君へと続く道』
8位『変な家』
9位『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』
10位『トラペジウム』

今週末は石原さとみが失踪した娘を捜す母親役を演じた『ミッシング』(5月17日公開)、伝説的ミュージシャンのボブ・マーリーの知られざる生涯を描く音楽伝記映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(5月17日公開)、草なぎ剛が主演を務めた『碁盤斬り』(5月17日公開)などが公開を控えている。

文/久保田 和馬