トム・クルーズが主演する人気シリーズ「ミッション:インポッシブル」の第1作から第3作が、6月7日(金)、14日(金)、21日(金)の3週にわたって金曜ロードショーで一挙放送されることが決定した。

「ミッション・インポッシブル」のオリジナルは、1960年代〜70年代にかけてテレビ放送されたスパイアクションドラマ「スパイ大作戦」。ラロ・シフリンによる誰もが知っている有名なテーマ曲と「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで」という非情な指令のフレーズなどで、日本でも大人気を博した。このテレビシリーズの続編として1996年に第1作が映画化、トム・クルーズが主人公イーサン・ハントを演じ、“ミッション:インポッシブル(=実行不可能な指令)”に挑む大人気シリーズに成長。これまで7作が公開され、全世界興行収入41億ドルを記録している。

また本シリーズは、クルーズ自身が第1作からプロデューサーを務めることで、妥協を許さない、常識を超えたアクションシーンを実現。なかでもスタントマンを使わず、トム・クルーズ本人が危険なアクションに挑むノースタントアクションは毎回大きな話題となっている。

第1週の6月7日(金)は、記念すべきシリーズ第1作を放映。テレビシリーズ「スパイ大作戦」の大ファンだったクルーズが、映画の大スクリーンで続編を製作する事を立案。クルーズが初めてプロデュースに挑戦し、彼の製作上のパートナーであるポーラ・ワグナーとともに1992年にパラマウント映画内に設立した“クルーズ/ワグナー・プロダクションズ”の記念すべき第1回作品として、1996年に公開。興行収入は全世界で4.5億ドルを超え、世界中で社会現象を生む大ヒット作となった。

テーマ曲にはテレビシリーズで有名なシフリン作曲の「Theme From Mission:Impossible」。テレビシリーズで第2シーズンから、IMF(Impossible Missions Force/不可能作戦部隊)のリーダーを務めたジム・フェルプスが本作でも登場。テレビシリーズでお馴染みの「おはよう、フェルプス君」で始まる、当局からの指令のシーンが再現される。また、イーサンがCIAのメイン・コンピューター室に侵入する有名なワイヤーアクションは、いまでも様々な映画やドラマでオマージュされるほどの象徴的なシーンとなっている。そして、最高時速300km以上で疾走するロンドン―パリを結ぶ超高速鉄道「TGV」の屋根で繰り広げられる手に汗握るバトルシーンも本作のクライマックスとなっている。

監督は『キャリー』(76)、『スカーフェイス』(83)、『アンタッチャブル』(87)などのブライアン・デ・パルマ。共演には『帰郷』(78)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジョン・ヴォイト、『グラン・ブルー』(88)、『レオン』(94)のジャン・レノらが名を連ねる。

2週目の6月14日(金)は第2作『ミッション:インポッシブル2』(00)を放映。本作は全世界興行収入で5億4,500万ドルを突破し2000年No.1の大ヒットを記録。日本国内でも102億円の興行収入でその年のNo.1ヒット作品となった。本作では悪に転じた元エージェントが恐ろしい生物兵器“キメラ”を強奪。イーサンは、殺人ウイルス兵器の使用を阻止するべく、首謀者を追って世界各地を飛び回る。

監督は、アクション表現の独特の映像美から「バイオレンスの詩人」とも呼ばれ、クエンティン・タランティーノやマーティン・スコセッシからもリスペクトされるアクション映画の巨匠、ジョン・ウー。前作よりも大幅に盛り込まれたアクションシーンは、ウーならではのこだわりを見せる最大の見どころとなっている。

イーサンの相棒を務めるスゴ腕の女泥棒ナイア役には、かつてクルーズと『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)で共演し、後に『クラッシュ』(04)で英国アカデミー賞・助演女優賞を受賞するタンディ・ニュートン。殺人ウイルス“キメラ”の奪還を命じるIMFのイーサンの上司、スワンベックには『羊たちの沈黙』(91)でレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンス。前作でもイーサンと手を組んだ天才ハッカーのルーサーを演じるヴィング・レイムスは本作でも引き続き出演する。

冒頭のアメリカ、デッドホースポイント州立公園でセーフティ・ネットを使わず、高さ30メートル以上の断崖絶壁に腕だけでぶら下がるという超危険なフリークライミングのシーンや、ヘリコプターからビルに潜入するために屋上の天窓にダイビングするスリル満点のシーン、クライマックスの2台の大型バイクでバトルを繰り返しながら疾走するシーンなど、スタントマンを使わないノンスタントアクションシーンは、トム・クルーズ自らがプロデューサーを務める本シリーズだからこそ実現できたもの。本作での文字通り命を懸けたトム・クルーズのアクションシーンは必見だ。

そして3週目の6月21日(金)は第3作『ミッション:インポッシブル3』(06)を放映。第一線から退いて諜報機関IMFの教官になっていたイーサンが、かつての教え子が拉致されたことをきっかけに現役に復帰。本作ではイーサンとの結婚を控えた婚約者ジュリアも登場。イーサンは彼女や親族には、交通局の職員だと身分を偽っていたが、敵にその存在を知られてしまったジュリアは誘拐され、人質として敵のアジトに連れていかれてしまう。イーサンが最愛の人に迫る命の危機に立ち向かう。

本作もクルーズ自らが挑むノンスタントアクションが満載。イーサンが橋の上で敵の戦闘機やヘリコプターから攻撃を受け、爆風に吹き飛ばされて他の車に叩きつけられたり、転がってきた大型トラックの下部をすり抜けるシーンは緻密に計算されたシークエンスによって実現できたスタント。また上海の摩天楼を舞台に、敵のアジトに潜入するため隣の高層ビルから振り子の原理で飛び移るワイヤーアクションでは、高層ビルの斜面を滑落していくイーサンの姿に、手に汗握らずにはいられない。

監督はアメリカの大人気スパイアクションドラマシリーズ「エイリアス」の製作総指揮を務めたJ・J・エイブラムス。「エイリアス」の大ファンであったクルーズが本作の監督にエイブラムスを抜擢。後に「スター・ウォーズ」シリーズの第7作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)と、シリーズ最終章の第9作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(19)の監督という大役を務めるエイブラムスにとって本作が初監督作となった。

本作のヴィラン、凶悪なブラックマーケット商人のオーウェン・デイヴィアン役には『カポーティ』(05)でアカデミー賞・主演男優賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞した後に2014年に急逝した名優、フィリップ・シーモア・ホフマン。イーサンの上司、セオドア・ブラッセル局長役には「マトリックス」シリーズのモーフィアスを演じたローレンス・フィッシュバーン。

現在、2025年公開予定の最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART TWO』の製作が進んでいる本シリーズ。トムのアラフォー時代の勇姿をぜひ金曜ロードショーで堪能してほしい。

文/スズキヒロシ