北陸新幹線が福井県の敦賀市まで開業し、北陸3県が首都圏とダイレクトに結ばれるようになった一方、関西や中京圏からは敦賀駅での乗り換えが発生するようになり、新たな課題となっています。

【写真】敦賀駅乗り換え問題 「北陸から西」の移動はどうする?

北陸新幹線の敦賀駅。新幹線や特急列車が到着すると、駅のコンコースは大勢の乗り換え客でごった返します。

列車到着時の敦賀駅の乗り換え改札


Q.乗り換えどうですか?
乗り換え客「意外と分かりやすい」
Q.荷物あっても大丈夫?
乗り換え客「大丈夫そうです」「面倒ですね」「時間的にも厳しいですね。お土産とかも買えなかったので」

敦賀駅は、北陸と関西、中京方面への乗り換え駅にもなっています。利便性に疑問を感じている利用者に対し、JR西日本も対策を練っています。


JR西日本金沢支社総務課・片井秀明さん「1月にシミュレーションを行って、そこで出た課題をもとにハード対策、ソフト対策を強化してきた」

1月にシミュレーションを行ったところ、ダイヤ上の乗り換え時間の想定の8分間に間に合わない結果が出ました。

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急きょ、乗り換え改札口の前に特急サンダーバードとしらさぎで色分けされた案内表示を新たに設置。さらに、乗客の動きを分析し新幹線ホームの東京寄りと、特急乗り換えホームの金沢寄りに設置されている2基のエスカレーターを上下1基ずつから2基とも下り専用とし、スムーズに移動できるようにしました。

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さらに特急乗り換えホームでは、しらさぎとサンダーバードの停車位置をずらすことで、乗り換え客が集中しないようにしています。

警備員の案内「サンダーバードお乗り換えの方、改札出られて青色へお進みください。乗り場33番乗り場になります」

このほかコンコースには警備員を配置して乗客への案内を行うなど、混乱を避ける取り組みを進めています。

乗り換え時の混雑と混乱解消へ。駅の設備としては異例の対策が取られています。

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改札の通路数は19、エスカレーターは26基、そして大型エレベーター6基と、いわば至れり尽くせり、これでもかといわんばかりの設備を乗り換え対策として設けています。


一方で、サンダーバードは強風などで迂回運転が行われ遅れることがよくあります。滋賀県内の湖西線が強風などで運転見合わせとなったときに、これまでも特急サンダーバードは米原経由で迂回運転することで遅れが発生しましたが、この場合の対応についてはJRは想定をして臨むとの立場です。

JR西日本金沢支社総務課・片井秀明さん「敦賀駅からのつるぎ号、新幹線のほうも接続待ちを基本的に行って、極力お客様の事前に取られている指定席とかが変更にならないように配慮している。ただしどうしても遅れ時間が大きくなってしまうと接続が難しいということになるので、その場合は代わりに敦賀の近くに車両基地があるので、そこから新しい列車を準備して臨時で走らせるということもしている」

JR西日本によりますと、おおむね30分程度の遅れまでは敦賀発のつるぎの出発を遅らせる対応とし、それ以上の遅れとなった場合にはサンダーバードに接続するつるぎの臨時列車を走らせているということで、3月16日の敦賀開業から1か月の間にも実際に数本が運転されたということでした。

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大阪や名古屋を行き来するユーザーの鉄道への満足度は果たして高いのか?「割を食う」と考えるお客さんもいるようです。

高速バスの乗客「敦賀での乗り換えが大変じゃないですか。足の悪い夫を連れては乗り換えは無理だと思うんですね。要は関東が優先なんですね。置き去りにされた気がします」

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北陸新幹線と競合する高速バスは、ニーズを逃すまいと、新幹線開業にともない新たな動きを打ち出しています。福井駅と名古屋駅を結ぶバス路線は、北陸新幹線の開業後、乗客が前の年の同じ時期よりおよそ1.4倍に増えているといいます。

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福井鉄道・惣宇利健善常務「乗り換えがなくて1回座るとそのまま行けるから便利だという声をいただいているのと、(増便の際に)福井発7時を6時にしているので、ビジネス利用の方が6時始発で乗っていただく方も増えている」

高速バスは、福井市と名古屋市のバス会社4社が共同運行していて、2023年の利用者は夏休みや年末年始などを除いて毎月6000人から8000人の間で推移していました。

こうした中、2023年12月には、北陸新幹線の開業を見据えて1日8往復から10往復へ増便しました。そこには明確な戦略がありました。

福井鉄道・惣宇利健善常務「やっぱり新幹線開業をにらんで敦賀の乗り換えが発生するのでそこにひとつの勝機があると。4社で協議をしたうえで開業前に12月からスタートしている」

高速バスの乗客「乗り換えなくちゃいけないから。しらさぎがなくなったから」「乗り継ぎが自信なかったから」
Q.これまで名古屋行かれる時は?「しらさぎ」
Q.今回開業してからは初めて?「初めてです」
Q.なぜバスを選ばれた?「ライブがあって(乗り換えが)間に合わないとイヤなので慎重にバスで行こうと思った」



福井・名古屋間の高速バスは、北陸新幹線敦賀延伸前の3月1日から15日までが4626人だったのに対し、3月16日から31日までは8340人と急増しています。

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また北陸鉄道によりますと、金沢と名古屋を結ぶ高速バスのうち北陸鉄道が運行する4往復分の乗客数も、新幹線延伸前の3月9日から15日がおよそ1000人だったのに対し、3月16日から22日まではおよそ1500人と1.5倍になったということです。

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利用者の声を聞く限りでは8分という乗り換え時間や、敦賀駅での移動への不安を訴える人も多くいました。さらに、時間帯によっては名古屋へ行く場合、敦賀と米原で2回の乗り換えが発生することや、新幹線と在来線特急との乗り換え割引制度が廃止され、料金の割高感がより強まったことも影響しているものとみられます。