北陸の初夏を彩るクラシック音楽の祭典、「ガルガンチュア音楽祭」が28日、開幕しました。8日間にわたりおよそ180の公演が行われ能登半島地震の復興も支援します。

28日に開幕したガルガンチュア音楽祭。「風と緑の楽都音楽祭」から名前を変えて開かれるゴールデンウイーク恒例の音楽祭です。今年のテーマは「大西洋をわたる風〜イギリス・アメリカの音楽」。国内外のオーケストラや著名なアーティストが、多彩なステージを繰り広げます。

29日に開かれたオープニングコンサート。実行委員会会長の池辺晋一郎さんの新曲「祈り、そして光」が披露されました。

池辺晋一郎さん
「音楽祭が沢山の方に元気を、そして心のやわらぎを届けることができるはずなんだと。それをしなければ音楽祭の意味がないし音楽祭とは一体なんのためにあるかという今こそ真価を問われているという気がする」

今回、テーマの1つとなったのが地震からの復興支援。入場料の5%を義援金としておくるほか、能登の産品の販売ブースも設置されます。

来場者は…
「嫁が能登の人で心が痛い。何か知らないけどさっきコンサート聴きながら涙が出て…」「現地の方にこの音が届けば一番いいなと思いながら聴いていた」

大きなテーマとなっている地震からの復興。音楽祭には能登半島地震で被災した演奏家や楽器が登場します。
 



今月10日のプレコンサート。ベートーヴェンのピアノ協奏曲に挑んだのは、七尾高校3年の石島彩羽さんです。

七尾高校3年・石島彩羽さん
「みんな生きることに一生懸命でピアノの練習をしたいと言い出せる状況じゃなかったけど周りの方が手を差し伸べてくれて練習することができた」

元日、七尾市中島町の祖母の家にいた石島さん。ピアノの練習をしていた時、大きな揺れが襲いました。

石島彩羽さん
「壁とか横に合った机とかが倒れてしまって結構怖かった。前の能登地震の写真も見たことあったけど自分がこんな地震にあうとは思ってなくて…」

母・亜希子さん
「今までなら離れることを嫌がらなかったけどちょっと離れるのを嫌がったのでああ、やっぱり怖いんだなと思った」

数日間、避難所での生活を余儀なくされた石島さん。音楽祭のオーディションは地震発生から1週間後の1月8日に迫っていました。

母・亜希子さん
「周りの状況を考えて今回オーディションは難しいなと思って辞めるっていうかなと思ったけど『オーディション受けさせてほしい』と言ったときの意志の強さにはびっくりしました」

石島彩羽さん
「自分の中でそのオーディションを最後にしようと決めていたのでどうしても受けたいという気持ちがあって。当日も地震がまた起きたらどうしようとか怖い気持ちはずっとあったけど支援してくださった方々に感謝しながら弾こうと思って」

感謝の思いを音色に乗せて。石島さんは来月4日、県立音楽堂交流ホールで開かれる公演に出演します。

石島彩羽さん
「聞く人の心に響く自分もそうだしほかの被災した方にも勇気を与えられるような演奏にできたらいいなと思っている」
 




八井貴啓社長
「この部屋にあるっていうので…これと同じような大きい柱が邪魔して奥に行けなかった。仕方ないからここの壁ぶち破ろうということになってそこから出した」

輪島市横地町の大徹八井漆器工房。地震で工房は全壊しましたが、瓦礫の中から輪島塗のバイオリンとチェロ、ヴィオラが無傷で見つかりました。

八井汎親さん
「いやぁよくまあ無事に見つかったと思いますよ。これだけめちゃくちゃになった中にひとつも傷んだところや傷ついたところはありませんし」

漆の魅力を海外に発信しようと10年前から製造を始めた輪島塗の弦楽器。復興のシンボルにと音楽祭への出演が決まりました。

八井汎親さん
「何かやっぱりこれを使って大震災の中でみなさんに元気をつけられるようにという感じで見つかったんじゃないですかね」

輪島塗の弦楽器は来月3日と5日に披露されます。

29日の「Atta」では、「アクィユサクソフォンカルテット」から、筒井裕朗(つついひろあき)さん、中田真砂美(なかだまさみ)さん、大德美幸(おおとくみゆき)さん、角口圭都(かどぐちけいと)さんの4人がスタジオ出演しました。

演奏◇ヴィヴァルディ「四季より「春」inJazz」◇スーザ「星条旗よ永遠なれ」