東京・江戸川区が結婚を望む区民の出会いを支援するため、都内で初めてマッチングアプリの事業者と連携協定を結びました。

江戸川区が連携協定を結んだのは、累計会員数が1900万人を超える国内最大規模のマッチングアプリ「タップル」で、自治体がマッチングアプリの事業者と協定を結ぶのは都内では初めてです。

江戸川区の婚姻数は20年で約39%減少していて、都内全体の数字よりも大きく上回っています。そこで、江戸川区は妊娠前から子育てまでのそれぞれの段階を支援する「えどがわ50の子育てプラン」事業を実施していて、マッチングアプリの利用支援もその一環です。今後は両者で連携し、アプリの使い方やプロフィールの書き方、そしてトラブルに巻き込まれない利用方法などについて7月に無料のセミナーを行うとしています。

江戸川区・斉藤区長「安心安全という部分に対する抵抗感を持っている職員も多くいたし、区民の皆さんも多いのではないかと思っている。そこを少しでも解消するという視点に立った時、今回、連携協定という運びになった」

<行政の婚活支援 背景は?街の人は?>

江戸川区がマッチングアプリの利用を支援する背景にはこんなデータがあります。

内閣府が公表している「婚姻数と知り合ったきっかけ」について調査した資料によりますと、1972年には110万件あった婚姻数は2021年には50万件と2分の1以下に減少しています。それぞれ知り合ったきっかけで見てみると、減少した数のほとんどは「お見合い」や「職場結婚」の数となっています。江戸川区はこうした背景からお見合いに代わる新たな出会いの場としてマッチングアプリに焦点を当てたということです。

こうした出会いの支援は東京都でも行われていて、それが「AIマッチングシステム」です。現在はまだテスト段階で一般開放はしていませんが、東京都は今年度(2024年度)の早い段階でのサービス開始を目指しています。登録には年収を確認するための「課税証明書」や「独身証明書」の提出が必須で、東京都はこのサービスの作成や関連するイベントなどに今年度予算で1億円を投じています。

小池知事はこの取り組みについて、5月10日には「都の行政がこのような形で乗り出すというのは、逆に言えば行政が有する信頼性がバックにあって、それをベースにしながら安心して相手を見つけられるという点もあると思う」と述べ、行政の信頼性がマッチングサービスに不安を持つ人の利用につながるのではないかと話しています。

行政がこうした出会いの支援を行うことについて、街の人はどう考えるのか聞いてみると…

20代男性:「出会いがないという人が多いと聞くので、少子化などもあるし(婚活支援に)賛成」

30代男性:「僕は文書のやりとりが苦手なので、あまり前のめりにはなれない」

50代女性:「少子化は解消はしないと思うが(出会いの)きっかけにはなるからいいかなと思う」

など、さまざまな声が聞かれました。

こうした行政による婚活支援が婚姻数の増加や、ひいては出生率の上昇など、どれだけの成果につながるかは今後も注視する必要がありそうです。