伊那市は5日、「天下第一の桜」として知られる高遠城址公園(同市高遠町)のタカトオコヒガンザクラの開花を宣言した。昨年より11日遅いが、記録上ではほぼ平年並みという。同公園を会場にした「さくら祭り」が始まり、高遠の観桜シーズンが幕を開けた。市は、10日ごろから見頃になると見込んでいる。

 タカトオコヒガンザクラはやや小ぶりで強い赤みが特徴の固有種。園内には約1500本が植わり、樹林は県の天然記念物にも指定されている。今季の開花は過去10年の平均より3日遅かった。

 開花は、同園南口付近にある「標本木」で白鳥孝市長が確認した。白鳥市長は、新型コロナウイルスの感染法上の扱いが5類に移行してから初の開催になることに触れ、「昔のようなにぎわいある祭りになってほしい」と語り、催しの安全無事を期待していた。

 この日は観光客らが多数訪れ、早くも園内はにぎやかな雰囲気。横浜市から訪れた80代女性は「花の数が多い。満開の時には来て見てみたい」と話していた。

 「さくら祭り」の期間は散り終わりまで。今季はコロナウイルスの社会的な扱いが変わったことを受けて制限は設けない。6日から有料入園となり、金額は大人600円、小中学生300円。

 祭りに関連して、武将隊とのじゃんけんイベント、高遠石工の石仏を再現したフィギュア「石仏ガチャ」、伝統の「高遠ばやし」、桜茶のサービスなどの企画を展開する。今後の開花状況により夜桜のライトアップも予定する。

 公園周辺は交通規制を実施。渋滞対策のためシャトルバスを運行する。