箕輪町富田の富田薬王院で7日、約70年ぶりに釈迦の誕生日を祝う「花祭り」が開かれた。富田区の長寿クラブ「富田富老クラブ」が地域の文化財を伝え、子どもたちの思い出づくりにつなげたいと復活させた。地元の親子連れやお年寄りらでにぎわい、花御堂に置かれた誕生仏に甘茶をかけて無病息災を祈った。

 参列者たちは、釈迦の生誕時に甘露が降ったという言い伝えにちなんで、ひしゃくで慎重に甘茶を誕生仏にかけた。その後、甘茶を味わったり、子どもたちは駄菓子をもらったりして喜んでいた。

 小学3年の児童は「甘茶は甘くてちょっと苦い。大人の味だった」、母親は「(きょうの思い出が)子どもたちの記憶に残ってくれたら」と話した。

 花祭りに併せて、普段は鍵が掛かっている本尊の薬師如来を御開帳したほか、薬師如来を守る「十二神将像」12体も如来像の前に並べて公開した。

 薬王院そばに長年住む女性(93)は如来像の前で手を合わせた。「初めて(お堂の)中に入った。まさかこんなに立派なものがあるなんて知らなかった」と感心していた。

 同クラブの向山明会長(77)は「大盛況でうれしく思う。子どもたちの思い出に残って文化の継承につながれば」と期待していた。