持続可能な地域づくりを目指す「八ケ岳自給圏をつくる会」(鮎川ゆりか代表)は7日、講演会を原村中央公民館で開いた。茅野市湖東にゼロエネルギーハウス「金山デッキ」を建てた元環境省事務次官の小林光さんを講師に迎え、参加した約40人がエコハウスの現状と今後の展望に耳を傾けた。

 小林さんは地球環境政策を担当していた2000年に都内にエコハウスを建設。21年に建てた「金山デッキ」を含め計3軒のエコハウスを建てた。太陽光発電や蓄電設備、高断熱、地中熱利用など生活に必要な電力をできる限り再生可能エネルギーでまかなう建物で暮らし、二酸化炭素の削減量や初期投資の回収状況などを伝えた。

 「金山デッキ」は約124平方メートルの平屋建て。厚い断熱材や3枚ガラスを採用している。8.8キロワットの太陽光発電パネルを屋根に置き、23キロワットアワー相当の蓄電システムを採用。発電量対総消費電力量比で計算すると、電力の単純自給率は263%になる。都内のエコハウスに比べ、年間の日照時間が長い茅野市では約3割ほど発電量が多いといい、「この地域で太陽エネルギーを活用しないのはもったいない」とした。

 エコハウスについては「人の暮らしを地球生態系のまっとうな一部にするための仕掛け」と述べ、化石燃料由来のエネルギーの使用を抑えない家の方が自然エネルギーを活用する家よりも安い点を問題提起。エコ関連の初期投資に対する負担軽減策や再生可能エネルギーで生まれた電気を発電した地域に販売する仕組みを提案した。