公立諏訪東京理科大学(茅野市)は、同市郊外にある農業用ため池の竜神池の水位を監視して、水門を遠隔操作で開閉するシステムの開発に取り組んでいる。水門管理に必要な人的負担やリスクを軽減し、地域の防災や農業への貢献も期待できる。9日は開発メンバーの教員らや地元関係者が参加し、竜神池で公開実験を行った。今年度中の実用化に向けて研究を進める。

 同大が産学公連携の「スワリカブランド」創造事業で開発した河川水位センサー技術を応用。遠隔地から水位の変動を確認できるシステムで、3年ほど前に竜神池に設置した。今回開発しているのは、水位の変動を確認した管理者が携帯端末による遠隔操作で水門を開閉できるシステム。現状は管理者が現地を訪れ手動で水門を開閉しているため、悪天候時や夜間などの作業の危険性を回避できる。

 地域課題の解決に向けた研究開発活動の一環。地域連携研究開発機構の防災減災研究部門の教員ら7人が開発を進めている。既存の水門開閉ハンドル機構に駆動装置を取り付け、遠隔制御用通信システム装置と接続して水門の開閉を遠隔で操作する仕組み。電源は太陽光発電を活用。低コストでコンパクトなのが特長で、ため池の水門のほかビニールハウスの開閉などにも応用できる。

 竜神池を管理する竜神池水利組合運営委員会の小平隆通委員長(67)は「突発的な集中豪雨のときなど、遠隔で水門の開閉ができればありがたい」と実現に期待を寄せた。

 同大工学部長で地域連携研究開発機構長の大島政英教授(58)は「地域に貢献できればうれしい。地元を中心に設置して水害対策に役立ててもらえたら」と話していた。