食事記録とダイエットとの関係
食事記録とダイエットとの関係 / credit: 写真AC

ダイエットで体重を減らすことに成功しても、その体重をずっと維持するのは簡単ではありません。

モチベーションの高いダイエット期間中は、日々の体重管理に集中できても、目標達成後に日常生活に戻ると、気がついた時にはダイエット前の体重に戻ってしまっている人が少なくないのが実情です。

目標達成後のリバウンド回避は、ダイエットの重要な課題ですが、これを回避する良い方法はないのでしょうか?

最近、米国フロリダ大学(University of Florida)のキャサリン・ロス准教授らの研究グループは、ダイエット後の体重変化について調査しました。

調査の結果分かったのは、ダイエットプログラム終了後も食事記録を続けていた人は、リバウンドしなかったということです。

今回の研究の詳細は、2024年3月26日付に学術誌『Obesity』に掲載されました。

目次

  • 食事記録がダイエット効果に繋がる
  • もっと痩せるなら週5回以上、維持だけなら週3回以上

食事記録がダイエット効果に繋がる

今回発表された研究は、ロス准教授らが以前に行った介入実験のデータを二次分析したものです。

ということで、まずは介入実験の結果を見ていきます。

この介入実験では、ある医療法人の従業員またはその家族75名(BMIが25以上)を対象として、インターネットベースの減量プログラムを3カ月間行っています。

減量プログラムでは、参加者は毎週、15分の映像講義を通じてダイエットに有効なテクニックを学んだと同時に、体重や摂取カロリー、運動量などの自己記録(セルフモニタリング)をするように指示されました。

そのプログラムの結果、参加者は3カ月で平均5.8kg(6.4%)の体重減を達成しました。

しかし、5%以上体重を減らした人は全体の60%にとどまり、減量の幅には個人差がありました

食事記録はダイエットには有効
食事記録はダイエットには有効 / credit: 写真AC

興味深いことに、セルフモニタリングを頻繁に行った参加者ほど、より大きな体重減少を達成していたことが明らかになりました。

「セルフモニタリングの頻度が多いほど体重減少が大きい」という結果は、他の研究グループによっても確認されており、日常的なセルフモニタリングの実践は、自分自身を見つめることが行動変容につながるという自己調整理論に基づいています。

自分の食事や運動量を見直すこと、そしてそれらが体重の変化とどのように関連しているのかを理解することで、自分の行動を客観的に評価し、改善へと導くことができるのです。

もっと痩せるなら週5回以上、維持だけなら週3回以上

ダイエット中に、セルフモニタリングをきちんと行うことでダイエット効果を高められるのであれば、ダイエットプログラム終了後も食事記録を継続させることで、減量体重を長期間維持できる可能性があります。

そこで今回発表された研究では、ダイエットプログラム終了から9カ月間を減量体重の維持期間とし、この期間における食事記録の頻度と体重の変化との関係を詳しく調べました。

結果、以下のような関係が示されました。

  • 最低でも週に1・2回以上しか記録できなかった人は体重が増えた
  • 最低でも週に3・4回以上記録した人は体重が変わらなかった
  • 最低でも週に5・6回以上もしくは毎日記録できた人は体重がさらに減った
一度痩せてもリバウンドのリスクがある
一度痩せてもリバウンドのリスクがある / credit: 写真AC

ロス准教授らはこの結果に基づき、維持期間中ではセルフモニタリングの頻度が週7日だったり1、2日だったりとまばらに実行するよりも、週3~5回きちんと記録する一貫性のある行動をした方がより効果的であると考察しています。

従来のカロリーブックやグラム計を使用するなどの時間や手間のかかる方法ではなく、最近では、スマホアプリなどのデジタルツールを活用することで、食事記録をより簡単かつ効率的に行うことが可能になってきています。

しかし、これらの便利なツールを使用しても、セルフモニタリングを毎日行うには、未だに多少なりとも時間と手間が必要です。

今回の研究結果をもとに考えると、一度痩せた後に体重を維持したい人は最低でも週3回、もう少し痩せたい人は週5回以上、食事記録をし続けると効果的なようです。

せっかく努力して達成した減量です。ちょっと頑張って食事記録を付けるだけでリバウンドを回避できるなら、試してみる価値はあるでしょう。

参考文献

Study Finds Exactly How Often You Should Weigh Yourself for Best Results
https://www.mensjournal.com/news/how-often-weigh-yourself-study

元論文

Identification of minimum thresholds for dietary self-monitoring to promote weight-loss maintenance
https://doi.org/10.1002/oby.23994

Implementation of an Internet Weight Loss Program in a Worksite Setting
https://doi.org/10.1155/2016/9372515

ライター

ナゾロジー編集部

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。