【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る大阪杯

【Pick Up】ベラジオオペラ:1着

 ここまでの8戦、唯一大敗した昨年の皐月賞(10着)は、上村調教師がレース前に「ダービーや将来性を見据えて90点ぐらいの仕上げ」とコメントし、なおかつ前潰れのハイペースに巻き込まれて本来の実力を発揮できませんでした。それ以外は[5-1-0-1]という成績。連対できなかった日本ダービーにしてもタイム差なしの4着ですから、地力の高さがうかがえます。ロードカナロア産駒のGI制覇は、昨年秋のエリザベス女王杯(ブレイディヴェーグ)以来です。

「母の父ハービンジャー」は成功しており、ほかにレガレイラ(ホープフルS)、メイケイエール(重賞6勝)などが出ています。連対率15.5%、1走あたりの賞金額180万円は、一流のブルードメアサイアーといえる数値で、スタミナや成長力に特長があります。「ロードカナロア×ハービンジャー」の成績はとくに素晴らしく、出走8頭中4頭が勝ち上がり、連対率41.4%、1走あたり871万円です。父ロードカナロアのスピードと、母の父ハービンジャーが伝えるスタミナや成長力がうまくマッチするのでしょう。

 ファミリーは、エアシャカール(皐月賞、菊花賞)をはじめ多くの活躍馬が出ている名門アイドリームドアドリーム系で、母エアルーティーンはエアアンセム(函館記念)の半妹、2代母エアマグダラはエアメサイア(秋華賞、ローズS)とエアシェイディ(AJCC)の全妹、3代母エアデジャヴーはクイーンSの勝ち馬です。

 千葉サラブレッドセールの取り引き馬からGI勝ち馬が出たのはオメガパフューム(東京大賞典4回、帝王賞)以来となります。今年は5月10日に船橋競馬場で開催されます。

◆血統で振り返るダービー卿CT

【Pick Up】パラレルヴィジョン:1着

 父キズナは土曜日に5勝の固め打ち。今年の獲得賞金を10億円の大台に乗せました。全種牡馬のなかで一番乗りです。日曜日に大阪杯を勝ったロードカナロアに僅差逆転されたとはいえ、芝とダート、いずれにおいても稼ぐ力がある種牡馬で、これからデビューする2歳世代のレベルも上々。この調子を維持できれば初のチャンピオンサイアーの座も見えてきます。

 母アールブリュットは現役時代に3勝クラスまで出世したマイラー。本馬はグリーンデザートとサドラーズウェルズを併せ持つキズナ産駒なので、バスラットレオン(ゴドルフィンマイル、ニュージーランドトロフィー、1351ターフスプリント)と配合の骨格が似ています。キズナ産駒は基本的にサドラーズウェルズ-ガリレオのラインと相性が良好です。

「母の父マクフィ」は、オウバイトウリ、チェルシー、パラレルヴィジョンと3週連続で勝ち星を挙げました。ブルードメアサイアーとしてのマクフィは要注目です。ちなみにこの3頭は、父がすべて「ディープインパクト×ストームキャット」の組み合わせ(リアルスティール、サトノアラジン、キズナ)なので、配合構成の4分の3近くが同一。この配合パターンも忘れずに覚えておきたいところです。



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