デビュー3年目、二十歳での大仕事だった。4月10日に逝去した藤岡康太さんがGIを初めて制したのが、09年のNHKマイルCのジョーカプチーノ。3連単が238万円超えの大波乱となった一戦を振り返りたい。

07年にデビューし、当時が3年目だった藤岡康太さん。同年のファルコンSをジョーカプチーノで制し、18回目の挑戦で重賞タイトルを獲得したばかり。GIは前年の秋華賞のブライティアパルス(4着)に続き、2回目の参戦だった。

10番人気で迎えた一戦。最内枠のゲットフルマークスがハナを主張した。前半600mが34秒3、1000mが57秒2という速めのペースを刻む。これを2番手で追いかけたのがジョーカプチーノだ。終始リズム良く運び、3番手以降には5〜6馬身の差を付けて4コーナーに差し掛かる。

 迎えた直線、後続が追い上げを図るが、脚色にはまだまだ余裕があった。残り400mで仕掛けられると、ゲットフルマークスを交わして先頭へ。そのまま危なげなく、2着のレッドスパーダに2馬身差をつける完勝を収めたのだ。勝ち時計の1分32秒4はレースレコードを0秒1更新し、コースレコードにも0秒4差に迫る優秀なものだった。

 20歳4カ月22日でのGI制覇は、84年のグレード制導入後では10番目のスピード記録。兄の佑介騎手よりも早いビッグタイトル獲得で、その名を全国区に知らしめたのだった。