テレビ東京・解説委員の山川龍雄が2月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。3日連続で最高値を更新した日経平均株価について解説した。

最高値を更新した日経平均株価の終値を示すボード=2024年2月22日午後、東京都中央区(斉藤佳憲撮影) 写真提供:産経新聞社

最高値を更新した日経平均株価の終値を示すボード=2024年2月22日午後、東京都中央区(斉藤佳憲撮影) 写真提供:産経新聞社

日経平均、3日連続で最高値更新

飯田)2月27日の日経平均株価は26日よりも5円高い3万9239円で取引を終え、3営業日連続で史上最高値を更新しました。

山川)(過去最高値を記録した)1989年だと、飯田さんはおいくつでしたか?

飯田)小学校1〜2年生ですね。

バブル時に比べれば今回の株高は健全

山川)私は社会人1年目だったのですよ。当時は本当のバブルでした。貯金もないのに「頭金なんかいらないから早くマンションを買え」とか「株を買え」と勧められるぐらい。当時は企業も借金して財テクをやっていました。それに比べれば、いまの株高は健全だと思います。

飯田)そこまでして株を買って運用しませんからね。

山川)当時は就活のときも内定拘束という形で、企業の旅行でいろいろなところに行っていました。

飯田)他の企業の試験を受けさせないため、旅行に連れて行くという話は聞いたことがあります。

バブル時と違い、いまは業績の裏付けがある株高

山川)それに比べれば、今回は浮ついていません。マーケット関係では「PER(株価収益率)」という言葉があります。「企業の1株当たりの純利益に対して、株価が何倍をつけているか」という指標ですが、バブル時は日経平均の構成銘柄だと60倍以上でした。古今東西、アメリカでも驚くぐらいの倍率をつけていたのです。

飯田)そのぐらい過大に評価されていた。

山川)それがいまは16倍程度ですから、極めて普通です。これからも少し株価の調整は入るでしょう。一本調子で上がるよりは、むしろ入った方がいいのです。当時を知っている人間からすると、そんなに浮ついたものではなく、業績の裏付けがある株高だと思います。

飯田)最近は半導体が引っ張っているという話が出ています。折しもTSMCが開所式を行いましたが、日本にもそういう投資が入っているのでしょうか?

山川)経済安保、対中包囲網に関連して「中国よりも日本でものづくりをしよう」という動きもありますから、それも1つの業績の裏付けになっています。

マーケット関係者の関心事は「アメリカの利下げがどこで起きるか」に移っている

飯田)「そうは言っても庶民には実感がない」という声もありますが、(好景気は)どこまで落ちるのでしょうか?

山川)GDP成長率は2四半期連続でマイナスですから。いまはテクニカルな数字だけ見ると、いわゆる「景気後退局面」です。なぜ、こういうときに株高なのかということですが、一言で言うと、日経平均を構成している企業はグローバル企業であり、国内の経済はあまり関係ない。「世界的な景気がどうなっているか」と関係しているのです。

飯田)そうすると、やはり為替の円安などもプラスに作用する。

山川)そうですね。マーケット関係者にとっては「今後、調整局面がどこであるのか」がいちばんの関心事なのですが、1つはアメリカの利下げがどこで起きるかということです。利下げが起きると円高に振れ、円高のときは計算上、企業業績が少し落ちます。そのときが1つ、調整局面に入るときだと思います。アメリカの金融政策がどこでどう動くかについて、マーケット関係者の関心が移っています。