カーリットホールディングス(HD)は超高平坦の小口径シリコンウエハーの生産体制を強化する。新世代のSAWフィルターで求められる0・1マイクロ―0・2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の高い平坦度に応える技術を確立したほか、4―6インチの全般的な小口径ウエハーの生産能力も引き上げた。高平坦ウエハーはサンプル提供の中で、2025年度以降の実用化が想定される案件も出ている。十分な生産体制を整え、事業成長を加速させる。

高平坦ウエハーは子会社のシリコンテクノロジー(長野県佐久市)が、主に微小電気機械システム(MEMS)向けに酸化膜上にシリコン単結晶層を形成した「SOIウエハー」の基材用途として手がけてきた。高周波数化や周波数の安定性が欠かせない新世代のSAWフィルターに対して、0・1マイクロ―0・2マイクロメートルといった高い平坦度を実現することで需要を取り込む。

23年末には引き上げ炉や0・01マイクロメートルの分解能を持つ高平坦度ウエハー用の平坦度測定機の導入などで、生産能力と精度面を向上。全般的な4―6インチの小口径ウエハーの生産能力は、21年の月産15万枚から20万枚に高まった。平坦度測定器を導入したことで、0・1マイクロ―0・2マイクロメートルの高平坦度で品質を担保できる体制も整った。

カーリットHDは7月に社名を「カーリット」に変更。10月には子会社の日本カーリット(東京都中央区)とシリコンテクノロジーを吸収合併し、事業持ち株会社に移行する。合併による経営資源の強化を生かし、半導体材料のより円滑な研究開発などにつなげる考えだ。


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