名古屋大学の隈部岳瑠大学院生らは、旭化成と共同で、窒化アルミニウムのpn接合デバイス(ダイオード)を作製し、理想的な電気特性を持たせることに成功した。窒化アルミはバンドギャップが非常に大きい「超ワイドバンドギャップ半導体」の有力な候補材料。窒化アルミの電子デバイス応用に向けた基盤技術となり、次世代パワーデバイスや高周波デバイスの材料として応用が見込める。

名大などの共同チームは、不純物を添加する従来の不純物ドーピングではなく、材料の特性を生かした「分布型分極ドーピング」手法を採用。電荷が偏りやすい窒化アルミの性質(分極)を活用し、3次元(3D)空間上に分極することでドーピングされたような状態にして窒化アルミを伝導性制御できることを確認した。

有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)法により、窒化アルミの基板上にpn接合ダイオードを作製。その際、アルミの含有量を70―95%まで一定の割合で増やしたアルミニウムガリウム窒化物を使い、pn接合部分を分布型分極ドーピングで形成した。

窒化アルミ系材料のデバイス応用の長年の課題だった伝導性制御を分布型分極ドーピング技術によって実現し、縦型pnダイオードで性能を実証した。トランジスタの作製も理論上可能という。