東芝は製造現場における画像検査で未知の欠陥や不良を効率よく分類する人工知能(AI)技術を発見した。AIが自らデータを学習していく「教師なし学習」で、独自の深層学習用のAIを用いた。製造現場で取得した検査画像の欠陥などの分類精度を従来に比べ5割以上高い83%まで向上することに成功した。今後、開発したAI技術をグループの半導体工場に導入し、検査工程や製品などに適用して性能実証を進め、実用化を目指す。

検査画像の例。(a)は正常なパターンで、不要な背景の特徴を持つ(b)は欠陥が発生した製品

製造現場で画像解析によって欠陥などを早期に発見する技術開発が進んでいる。近年用いられる画像解析AIでは、AIに対して判断基準などを人手で教える「教師あり学習」があるが、コストが高いことから普及の妨げになっていた。一方で教師なし学習の場合、コストは抑えられるものの、分類精度が低く、その改善が課題だった。

東芝では深層学習AIを用いて背景パターンに含む不要な特徴を学習する技術を新たに導入し、欠陥や不良を含む目的画像の特徴を学ぶ技術と組み合わせた。これにより、背景のパターンでは不要な特徴を無視すると同時に、目的の画像からは必要な特徴を効率的に抽出することに成功し、欠陥などを高精度に識別・分類できた。

開発した技術は製造現場だけでなく、監視カメラへの応用も見込めるという。


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