乗用車メーカー7社の2025年3月期連結業績予想は6社が増収を見込む。北米など市場環境は堅調で世界販売台数は6社が増加を計画する。一方でインフレ影響などコスト増が収益面で負担となる。トヨタ自動車などは人的投資や取引先支援を積み増す。コロナ禍や半導体不足による供給制約がなくなり24年3月期は各社好業績だった。25年3月期は競争力を磨き中長期での持続的成長につなげる。

※自社作成

トヨタ自動車は24年3月期に収益力強化の取り組みが奏功し、営業利益で日本企業初の5兆円超となった。25年3月期は競争力を確保しながら、人への投資で3800億円、このうち仕入れ先・販売店支援で3000億円を計上する。「意志を持って足場固めに投資をする」(佐藤恒治社長)構えだ。

日産自動車は販売台数の増加に加え、為替差益やコスト削減効果が寄与し営業増益を見込む。「商品ラインアップを強化し、収益性を維持する」(内田誠社長)方針だ。ホンダは電動化対応で研究開発費などが増加するが販売台数の増加や販売価格上昇などが寄与。営業利益は過去最高となり営業利益率7・0%を計画する。三部敏宏社長は「(当初の目標を)1年前倒しで達成したい」と力を込める。

スズキは成長投資の研究開発費や固定費が増加するが、日本やインドなどでの販売台数増加や売上構成の改善などで補い、売上高、営業利益とも過去最高となる見通しだ。マツダは高付加価値の戦略商品「ラージ商品群」を軸に販売台数の増加を期待。営業利益は前期に記録した過去最高益の更新を見込む。

一方、SUBARU(スバル)は重点市場の米国販売は堅調だが「販売環境が激化し、25年3月期は販売奨励金を多めにみている」(大崎篤社長)とし、同奨励金の増加や為替影響などで営業減益の見通し。三菱自動車も世界販売台数は増加を見込むが、奨励金の積み増しや成長に向けた必要経費などが収益を押し下げる。


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