みずほフィナンシャルグループ(FG)は、2030年代の早期に部長相当職と課長相当職以上の女性比率を30%に高める目標を掲げる。管理職への登用に向けて、一人ひとりの育成方針を策定して推進し、意識醸成の機会も設けている。キャリアのステージに応じた研修プログラムも実施し、育成を強化する。(編集委員・川口哲郎)

※自社作成

IT・システム企画部システムリスク管理室海外リスク管理チームのロビソン美由紀調査役は、海外拠点のシステム運営の改善に携わる。同部署はシステム停止や誤作動を予防する仕組みを構築したり、システム開発管理の規定や指針を作成したりする。ロビソン調査役の主な役割は日本の規定を海外拠点向けに分かりやすく伝えることだ。

同氏は2015年から18年までロンドンに赴任し、海外の現場から現部署の管理部門をサポートした経験を持つ。「海外・日本双方の考え方の違いを理解しなければ、グローバルな観点で実効的な管理ができない。管理部門として全体最適に資する効果的なアプローチを考えていきたい」(ロビソン調査役)と話す。

秋岡由起子みずほFG金融犯罪対策部部付部長は、同部副部長から昇格する形で4月1日付で現職に就いた。同部署の任務は、取引先などが金融犯罪に巻き込まれるのを未然に防ぐことだ。「国際情勢がますます厳しく複雑化している中で、不正な資金の流れをしっかり止める枠組みを整え運用していくことはやりがいを感じる」(秋岡部長)という。

秋岡部長はチームをけん引する役割を担っており、「メンバーがいかに誇りを持って楽しく仕事できるか、その環境を整える」(同)ことが目標だ。「(同部署の仕事は)緊迫する状況に対峙(たいじ)し、プレッシャーがかかる局面がある。ずっと張り詰めていると折れてしまうので、私自身が率先して明るく前向きに取り組む」(同)と心がける。

河野朋子みずほFG執行役員グループ人材開発・組織開発責任者(CPO)も4月から現職で、人材開発と組織開発に集中して取り組む。「自分一人では成し遂げられないことを(みずほ)でともに成すために、おのおのがどこを伸ばせばいいか、どうしたら自分らしくキャリアを歩めるか―。これらを自分自身で考え、実現できるような会社にしていきたい」(河野執行役員)と力を込める。

管理職を目指す女性に対して河野執行役員は「管理職に踏み出すことにためらいがあるならば、それが何でどうしたら取り除けるかなどの声をしっかりと聞き、対応していきたい」という。秋岡部長は「会社に使われているのではなく、自分がやりたいことを実現するために会社は使える・使っていくという発想を持ってほしい」とエールを送る。

日本企業は欧米に比べて女性の管理職や役員の比率が低い。政府は東証プライム上場企業で30年までに女性役員比率30%(23年7月時点13・4%)を目標に掲げる。みずほFGは役員候補となる女性管理職層の裾野を広げ、政府目標の達成を目指す姿勢を明確にしている。


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