反響の大きかった2023年の記事からジャンル別にトップ10を発表してきた。今回は集計の締切後に、実は大反響だった記事に注目。年間ランキングで忘れられがちな11月12月に公開した社会経済ニュース記事から選ばれた、第6位はこちら!(集計期間は2022年11月〜2023年1月。初公開2023年11月4日 記事は取材時の状況) *  *  *

 なぜパチプロは海物語を好むのだろうか。魚群が熱い、オモシロそう、マリンちゃんが好き、そんな感情論は愛くるしく思えるけれども、常勝理論とは程遠い。月単位で負けることのないゼニゲバたちは決まって計算オバケで、口を開けば「回転率、出玉、期待値」、こればかり。論理的というか、理屈くさい。そんな思考の先に、行き着くマシンが海物語なのだ。

◆負ける人に共通している4つの特徴

 そもそもパチンコ屋は、慈善事業じゃなくて営利目的。ようするに、負ける客がいなければ商売が成り立たない。じゃあ、たくさん負けるのは、どんな客なのだろうか。

① 釘のメンテナンスによって投資金額や出玉率が変わるのに、釘を見ない。
② ボーダーライン(損益分岐点となる回転率)を下まわる台に手を出す。
③ 遊タイム(規定回数まで大当りしなかった場合に時短に突入する機能)について、理解していない。
④ 負けたことを遠隔のせいにする(この手の記事を多く見かけるけれど根拠のないガセ情報)。

 パチンコは楽しんだ者がエラいので否定する気はないけれど、①〜④に多く当てはまるのは、ほとんど高齢者。そんな太客たちに人気があるのが、単純明快な海物語シリーズなのだ。

 店側からすれば、利益が取れるから還元できる。水曜日(水にまつわる海の日)などの特定日に、赤字コーナーとして扱われるケースが多い。

◆パチプロがもっとも打ちたい海物語の機種は?

 タイトルに「海物語」とつくマシンは、現行機だけで10タイトル以上ある。おおよそ1年間で3タイトルくらいのペースで導入されており、これらは当然ながらに釘の配置が違うし、ベストなストローク(玉を打つ強さ)だって違う。

 スペックが違うだけの姉妹機も含めると恐ろしい台数になるわけだが、そのなかでもプロが主戦力として選んでいるのは「大海物語5」。このマシンは技術介入要素の宝庫、その要素が沢山あるのだ。

◆「大海物語5」の“4つの攻略要素”を解説

①アタッカーへのオーバー入賞狙い

 アタッカーに入賞すると、15個の賞球が得られて10カウントで閉鎖する仕組み。そこへ無理矢理11個目の玉をねじ込んで、店の想定していない出玉を得る技。

②確変&時短の止め打ち

 パカパカと開閉を繰り返す電動チューリップの、開放タイミングだけを狙い打つ技。具体的には「電動チューリップが閉じたら4個打ち出す」、これを繰り返す。さらに、テクニシャンたちは「強→強→弱→弱」といった緩急の差をつけて、電動チューリップへと流し込む。

③回転スピード

 1時間あたりの変動効率は「スーパー海物語IN地中海」が約135回転、「スーパー海物語IN沖縄5」が約200回転、「大海物語5」が約230回転。たとえば1変動あたりの期待差玉が3玉だとしたら、大海物語5の期待時間差玉は「230回転×3個=690個」となり、圧倒的に期待値が高くなりやすい。

④ストローク自由度

 近年の海物語は右の釘配置が冷遇される傾向にあったが、このマシンは左右対称の釘配置であるため右打ちにも可能性がある。

◆「大海物語5ブラック」にも期待できる
 
 ボーダーライン(損益分岐点)は、①&②の技術介入によって千円あたり16.7くらいまで下がる。千円17回転であってもプラス差玉が見込めるのだから、めちゃくちゃ甘い。とくに③&④は、大海5ならではの長所といえる。

 そのため、2023年12月4日に導入予定の「大海物語5ブラック(スペック違いの姉妹機)」も、打ち込む価値のあるマシンである可能性が高い。導入されたら、まずは冬休み前(いわゆるエサ巻きといわれる期間)までが狙い目となりそうだ。

◆他の機種に比べて約2倍の止め打ち効果が見込める

 電動チューリップ1個賞球機が主流となっているのに、2個賞球の海シリーズは単純に約2倍の止め打ち効果が見込める。だから腕利のプロにとって、これ以上に魅力のあるシリーズはないのだ。

 店長の立場からすると、「止め打ちを放置すると赤字になってしまう」と分かりながら放置するわけにいかない。釘をメンテナンスするか、注意するか、出入禁止にするか、そんな選択に迫られる。変に悩むよりも「海物語で止め打ちをしたら一発で出入禁止」といった方針の方が、手っ取り早いのだろう。

 さらに出玉と貯玉カードを没収してしまえば、店の評判は下がるだろうけれど“一石三鳥”。それを「大海物語4SP」で喰らったときは、かなり落胆した。

◆リスクがあっても「海物語を追い続けるワケ」

 止め打ちをするのは怖い。どれだけリスクが高いのかを分かっているから。それでも、このシリーズを避けて納得のいく期待値をあげるのは難しい。

 初代ファフナーのV直撃打法、モンスターハウスの通常時右打ち、パチスロのコピー打法、そんな必然的に勝てるマシンに巡り合う日まで、ボクたちは海物語を追い続ける。



【ミネッチ】
技術と釘読みで凌ぐパチプロ生活が20年。その稼働内容を、雑誌(パチンコオリジナル実戦術、必勝ガイドMAXなど)に寄稿し始めて10年が経つ。YouTubeの密着シリーズ(パチダンTV)は特に人気があり、70万回再生を超えた。