大事件ばかりがニュースではない。身近で巻起こった仰天ニュースを厳選、今回は「ゴールデンウイーク」にまつわる記事に注目し反響の大きかったトップ10を発表する。第10位の記事はこちら!(集計期間は2018年1月〜2023年12月まで。初公開2022年4月29日 記事は取材時の状況) *  *  *

◆GWサンデードライバー対処法

 車大好き腕時計投資家の斉藤由貴生です。今年もゴールデンウィークが始まります。人によっては最長10日間、行楽客が増え必然的に高速道路はサンデードライバーだらけとなります。

 普段から運転をしているドライバーにとって、サンデードライバーの運転は「危険」だったり「ストレス」だったりするわけですが、そういったサンデードライバーへの対処法を今回考えてみたいと思います。

◆運転が「うまい/下手」とは?

 まずはじめに「運転がうまい」「下手」ということについてですが、私は運転のうまい/下手という観点は重要ではないと考えます。

 重要なことは、「基本」ができるかどうかであり、公道を走る限りテクニックを駆使した“うまさ”は必要ないと思います。

 では、「基本」とはなにかというと、それは以下の2つに集約できるでしょう。

・キープレフト
・一定速度で走る

 しかし、この基本ができないドライバーが多いのが問題であります。何が問題なのか、順番に解説していきます。

◆キープレフトができない

 片側2車線の場合、左側が「走行車線」、右側が「追い越し車線」であるわけですが、すでに追いつかれているにもかかわらず、永遠に左側に戻らず、チンタラと右側を走り続けるクルマがいます。

 そういったクルマのドライバーは、どういった思考をしているのか気になるところでありますが、私の友人が、ずっと右を走っていた時、「なんで左に戻らないの?」と質問したら、「前がいるじゃん」と返答されました。

 その際、たしかに前にクルマがいたのですが、ずいぶん遠くの位置。ざっと1km程度は離れていたのです。

 本来、追い越し終わったら、速やかに左に戻らなければならないわけですが、彼は1km以上先のクルマを「前がいる」といい、後ろに追いつかれた状態になっていました。そうであるにもかかわらず、ずっと右車線を走り続けていたのです。

 後ろを走っていたクルマは、きちんと左側車線に戻っていました。ただ、友人が運転するクルマよりも速い速度で走行していたため、結果的に、左側から追い抜いていってしまいました。

 どのような速度で巡航しようが、走行車線を走るのが基本です。追越車線は、追い越すときに使う車線であります。

◆公道はスピードを競う場ではない

 また、追いつかれたら譲るというのも基本です。自分がどんなに速く走っているつもりでも、追いつかれたら道を譲る必要がありますが、日本では、張り合うクルマが一定数います。

 ネットを見ていると、プロの自動車ライターでも、「後ろから速いクルマが来たから、アクセルを踏んで引き離した」などという文章を見ることがありますが、迷惑行為なのでやめましょう。そういうクルマは、本来“速く走りたい”わけではないため、一時的に速度を上げたとしても、すぐに遅くなります。結局は、また追いついてしまい、抜きたくても抜かせてもらえないというストレスになるわけです。

 一定の巡航速度で走っているクルマに追いつかれたからといって、自分がさらに速い速度で走る必要はありません。道を譲ればいいのです。

 日本のクルマ好きの一部は、公道を勝負の舞台だと勘違いしていますが、公道で勝負なんてもってほのか。危険極まりないのでそういった思想は捨ててください。

『自分が速く走行したいなら、一定速度で速く走る。もっと速いクルマがきたら道を譲る。』これが基本です。

◆一定速度で走らないクルマ

 左も右も詰まっているという際や、片側1車線の際に困るのが、「一定速度で走ってくれない」というクルマの存在です。
 
 圏央道や地方の高規格道路のように、片側1車線、一定間隔で「ゆずり車線」があるといった場合、前のクルマを抜かしたくても抜かせません。

 そんなときに、前方を走るクルマが一定速度で走ってくれない場合、そのすぐ後ろを走ると、その独特のアクセルオフに付き合うことになります。

 一定速度で走らないクルマの特徴は、自由なところでアクセルオフをするという点です。例えば、制限速度が70kmの道路の場合、時速70kmでずっと走ってくれれば、とても走りやすいのですが、上り坂になったら60km、下り坂になったら80kmとなるクルマの後ろは非常に走りづらいわけです。

 さらにひどいのは、坂でもない直線といったところでスピードダウンするクルマです。

 例えば、一般道では、たまに道に迷っているクルマがいきなり遅くなるということがあります。その場合、道に迷っているクルマは「どこを曲がろうか」と思いながら走っているため、アクセルを踏んでいない状態。後ろのクルマはそのアクセルオフに気づかず、ブレーキを踏むことになります。それが高速道路上で繰り返されるのです。

 例えば10秒アクセルオフすると、ゆっくりと減速するため、後ろを走っているクルマがそのアクセルオフに気づくのは、アクセルオフ開始したタイミングより数秒後。仮に5秒後だとすると、後ろのクルマがアクセルオフしたとしても、さらに減速している前のクルマに5秒で近づかないようにしなければならないわけで、エンジンブレーキ(アクセルオフ)だけでは対応できなくなります。

◆車間距離を開けても対応できない

 渋滞の原因を「車間距離を開けないドライバー」とする研究者がいますが、変なタイミングでアクセルオフするクルマの後ろを走ると、どんなに車間距離を開けても、エンジンブレーキを併用しても、ブレーキを踏まずに走るのは困難。2020年製造の新しめのメルセデス・ベンツの自動運転機能でも、変なタイミングでアクセルオフするクルマには対処(アクセルオフだけで巡航することが不可能)できていませんでした。

 時速80kmで走っていたクルマが、不意なタイミングでアクセルオフして60kmまでスピードダウンしたならば、後ろを走っているこっちがそれに気づいてアクセルオフしたとしても、そのクルマに追いついてしまい、結果的にブレーキをすることになってしまうわけです。軽自動車のように、アクセルオフで減速しやすい車種の場合は、それなりに対処できるかもしれませんが、そうでないクルマの場合、どんなにアクセルオフしても、ギアを3速ぐらいにまで落としても、相手に近づいてしまいます。

 そして、そのブレーキを見た後ろのクルマに、今度は、こちらが「下手くそ認定」をされるという可能性もあります。

 また、不意なタイミングでアクセルオフする人のパターンを解読して、なるべくその人の運転に合わせて走ったとしても、自分の後ろを走っているクルマが、「私を下手くそ」と判断するせいか、一所懸命煽ってくるという場合があります。

 結局、前に一定速度で走ってくれないクルマがいる場合、その変なアクセルオフのタイミングに合わせなければいけなく足がつかれますし、後ろからは煽られるという、踏んだり蹴ったりな状況になることがあります。

◆基本ができないドライバーの対処法

 一定速度で走ってくれないクルマが前にいる場合、その直後を走るとかなり疲れます。そのため、片側2車線で渋滞しているといったケースでは、そのようなクルマが前にいた場合、一旦違う車線に行き、再度元の車線に戻るなどして、違うクルマの後ろを走るということが効果的だと思います。

 私の実感によると、一定速度で走らないクルマと自分との間に1台別のクルマがいるだけで、だいぶ走りやすくなる傾向があります。もちろん、一定速度で走らないクルマと私との間にいるクルマは、ずっとブレーキを踏んでいてかわいそうなのですが、そのクルマとの距離を一定間隔あけると、こちらは、ブレーキを踏まず、遅くなったらアクセルオフだけで走れるようになります。

◆最大の問題は“日本の運転思想”にあり

 ヨーロッパでは、ウインカーを出したら入れるのが当たり前。その代わり後ろに迷惑をかけないというのが基本ですが、日本は逆。道は、自分のモノという感覚があるためなのか、なかなか譲らず、道を譲ってもらったらサンキューハザードが当たり前です。

 しかし、サンキューハザードさえ出せば、後ろが詰まっているにも関わらず、ゆっくりとした速度で永遠に右側を走り続けるというクルマがいる始末。

 ウインカーを出しているクルマがいればすぐ譲り、譲ってもらったクルマは、追い抜き終わったら速やかに走行車線に戻る、といったほうが遥かに効率が良いと思います。

 しかしながら、日本では「譲らない」が当たり前と思っているドライバーが多いわけです。そのため、合流では多くのクルマが手前で車線変更しようとするために、加速車線の先端が空いているという状態ことも珍しくありません。さらに地方では、2車線道路が1車線になってしまうという箇所では、1km2km前といった段階で、減少するほうの車線がガラガラという状態。2車線分の1車線が使われていないため、渋滞を悪化させています。

 譲らないという行為は論理的には破綻しています。教習所では、ウインカーを出しているクルマがいたら道を譲ると教えますが、ウインカーを出すと、逆に譲りたくないから車間距離を詰めるというクルマが一定数います。

 こういった論理的に破綻している運転思想と、サンデードライバーが合わさると、まさに最悪のマリアージュとなってしまうわけです。そうなると、ゴールデンウィークの高速道路は地獄。結論としては、ゴールデンウィークには混雑しているところに出かけないが正解だと思います。身もフタもない話ですが。

<文/斉藤由貴生>



【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある