【碓井広義 テレビ 見るべきものは!!】

 土曜ドラマ「パーセント」(NHK)の舞台は、ローカルテレビ局の「Pテレ」。主人公はバラエティー班で働く吉澤未来(伊藤万理華)だ。

 ある日、提案していた学園ドラマの企画が採用される。念願のドラマ班に異動し、自分の企画を実現できると喜ぶ未来。しかし、編成部長は条件を付ける。それはドラマの主人公を障害者の設定にすること。局が進めるキャンペーン「多様性月間」の一環だった。

 やがて未来は、劇団に所属する車椅子の女子高生・ハル(和合由依)と出会う。障害の当事者である彼女に障害者の役を演じてもらおうとするが、「障害にめげずとか、乗り越えてとか、好きじゃない」と拒否される。「障害者が何かしら壁を感じる時、社会のほうに問題がある。それは障害者が乗り越えることじゃない」と言い切った。

 このドラマは、単なる「お仕事ドラマ」でも「障害者ドラマ」でもない。管理職の30%に女性を登用する「クオータ制」や、従業員に占める障害者の割合を定めた「障害者雇用促進法」の意義は大きい。だが、数値の設定だけでは解決しない問題があることを、物語に取り込もうとする野心作だ。

 脚本は劇作家で演出家の大池容子によるオリジナル。制作統括は「カムカムエヴリバディ」などの安達もじり。「バリバラ」を制作している、NHK大阪が手掛けるドラマであることも注目だ。

(碓井広義/メディア文化評論家)