半世紀ぶりにその名が番付に刻まれた。

 30日、大相撲5月場所の番付発表があり、大関琴ノ若(26)が元横綱の祖父と同じ、琴桜に改名。今後は「大関・琴桜」として、綱とりに挑むことになる。

 琴桜のしこ名が番付に掲載されたのは、1974年の7月場所が最後。

「名前が変わっても、何かが変わるわけじゃない。自分は自分」

 とは2代目琴桜。求められるのは祖父と同じ道──ではない。あくまで、祖父以上の横綱だ。

 先代琴桜は横綱としてより、むしろ大関の印象が強かった力士。歴代横綱の中で、大関在位32場所は武蔵丸(現武蔵川親方)と並ぶ、歴代1位のスロー出世だ。32歳1カ月での横綱昇進も最年長記録。力士としても晩年で、当時は「うば桜の狂い咲き」と揶揄されたこともあった。結局、歴代ワースト2位となる横綱在位8場所で引退している。

「先代琴桜は『猛牛』と呼ばれたように、ぶちかましやノド輪などの押し相撲が得意だった。2代目の琴桜は反対に四つ相撲主体。安定感はおじいさんよりあるが、ここぞの爆発力に欠ける。器用な半面、相手に主導権を握られたら何もできずに負けることが多い。押し相撲専門で、四つ相撲が苦手な貴景勝に組まれて負けた先場所などは典型でしょう。このあたりの課題をクリアしないと、横綱昇進は難しい。ただでさえ、一人横綱の照ノ富士は満身創痍。早く昇進してくれ、というのが協会の願いでもある」(角界OB)

 短命横綱だった祖父とは逆の道をたどれるか。