立憲民主党の野田佳彦元首相は20日の衆院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正をめぐり、自民党が17日に国会に単独提出した改正案について、岸田文雄首相に対し、「いちばん遅くて、いちばん中身が薄い」と酷評した。

自民案は改正案で、パーティー券購入者名の公開基準を、与党公明党が「5万円超」とする中でも「10万円超」にとどめ、与党内の調整がつかずに、異例の法案単独提出となった。また、大きな焦点となっている使途公開の必要がない政策活動費については、50万円以上の支出があった場合について「組織活動費」「選挙関係費」など項目ごとにその使途を党に報告することにしたものの、立憲民主党などは政策活動費の禁止を求めており、野党より緩い内容となっている。

野田氏は、改正案について議論する衆院政治改革特別委員会について「4月11日に設置されたので私は志願して入ったが、ずっと開店休業。この短い首を長くして待っていたのに、連休が明けても開かれない」と訴え「与党内の協議が長すぎたから。自民党案なるものがようやく(17日の)金曜日にまとまり、ようやく今週半ばから委員会が開かれるというが、遅すぎませんか」と指摘した。

さらに「ほかの党はみんな考え方をまとめている。いちばん遅かったのが自民党。いちばん遅い上に中身がいちばん薄っぺらい。だいたい、遅いって変じゃないですか?」と自民党の対応を批判。「裏金問題の当事者なんだから、深い反省のもと、こういうことが起きないようにという案をいち早くまとめていちばんシャープな案をまとめて、他党のみなさんご理解ご協力くださいというのは筋じゃないですか。いちばん遅くていちばん内容のないものを出すのは、反省がないからじゃないでしょうか」とも迫った。

これに対し、岸田首相は「遅い、中身がないという指摘があったが、政治家の責任の強化や透明性の強化など、再発防止に向けて実効的な案を提出することができた。これから各党の議論とも付き合わせながら、この国会で結果を出していきたい」と、淡々とした様子で反論しただけだった。