国民民主党の玉木雄一郎代表は21日の定例会見で、政府が、今年6月から始める1人当たり計4万円の所得税と住民税の定額減税について、各企業に所得税の減税額を給与明細に記載するよう義務付ける方針としたことへの感想を問われ「やめた方がいい。考えることがことごとくズレまくっている」と、失笑をまじえて批判した。「政権のアピール」とも指摘した。

岸田首相は6月の定額減税が国民に恩恵を与えるとして、並々ならぬ自信を持っているとされる。しかし、21日朝にこの方針が報じられるや、「国民実感」「明記義務化」「給与明細」などの関連ワードが、次々にインターネットのトレンドワードになった。

SNSでは「すげえな岸田文雄! 現場の負担お構いなしで給料明細に明記させて『減税の岸田』をアピール作戦かよ!姑息(こそく)すぎる」「ボタンひとつで給与明細を変えられると思ってやがる…」「自分の成果をアピールするためだけに、企業に無駄な労力を義務づけるなんて…本当に他者に対する嫌がらせを思いつくことに関しては天賦の才があると思う」など、政府方針に批判のコメントがあふれた。

玉木氏も、明細書への記載を企業側に求めるのは、企業にとって大きな負担になると指摘。「ただでさえ定額減税で現場の経理の方や、自治体の方は本当に事務負担が膨大になっている。システムを入れているところは簡単かもしれないが、昔ながらの手書きでやっているようなところはどうするのか」と疑問を示し、国民目線の対応ではないとの認識を表明。「政権の政策のアピールのために、余計な負担を増やすのは絶対にやめたほうがいい。これは明言したい」と断言し、「総理が(内容を)きちんと説明すればいい」と、首相が会見などで説明すればすむ話との認識も示した。

「給与明細を見たから『減税されて良かった』『消費しよう』なんて思わない。考えることがことごとく、ズレまくっている」と酷評を続け、「だったら(今回の対応で)かかる経費を使って、追加の減税をしてもらいたい」と提案。政府の対応を批判した。