柔道の全日本選抜体重別選手権最終日は7日、福岡国際センターで男女計7階級が行われ、女子63キロ級では福岡大出身の青野南美(福岡県警)が初の頂点に立った。

 まるで〝ホーム〟のような大歓声に結果で応えた。青野は堀川(パーク24)との決勝が延長に突入した40秒過ぎに豪快な内股を決め、福岡で開催された大舞台の頂点に立った。「相手の体勢を崩して、投げられる形に持っていって、技に入れた」。イメージ通りの動きでつかんだ会心の勝利を笑顔で振り返った。

 山口県下関市出身で、5歳から柔道を始めた。山口・豊浦高では柔道と並行してレスリングにも取り組み、国際大会でも活躍。両競技で鍛えた体幹を生かした力強い攻めが、福岡大の日下部基栄監督の目に留まった。

 シドニー五輪女子57キロ級の銅メダリストの下で着実に力を付け、社会人2年目で迎えた今大会で大きく花開いた。優勝を決めると、「お世話になった日下部先生のためにも優勝したいと思っていた」。青野は真っ先に恩師への感謝を口にした。

 日下部監督は、福岡県警に在籍した現役時代にこの大会で優勝した。自身と同じ道を歩む教え子の優勝を会場で見つめると「本当によかった。自分は福岡から五輪を目指してやってきた。福岡にいても(五輪出場が)できる、という環境づくりをしたくて頑張ってきた」と感極まった。

 3月に開催された国際大会で3位に入るなど、海外でも実績を残した成長株の23歳。「尊敬する日下部先生は五輪で活躍した。自分もロス五輪に出場して、金メダルを取りたい」。福岡でつかんだ果てしない自信は、ロスへと突き進む原動力となる。
(松田達也)