◆西武2―3ロッテ(10日、ベルーナドーム)

 まさに起死回生の一発だった。1点を追う9回1死、中村剛也内野手(40)がライオンズファンで埋まった左翼席上段へ今季1号、通算472号の同点ソロ。打った瞬間に本塁打と分かる大飛球に場内は割れんばかりの大歓声に包まれた。

 2―2の平行カウントからの5球目。146キロの外角高めの速球を捉えた打球は、23年目の大ベテランの技がつまったバットコントロールが生み出したものだ。プロ3年目の2004年シーズンから21年連続で本塁打をマークする球団新記録。ただ、中村は「そうですか」とうなずくだけ。延長の末の敗戦となったためか、言葉は少なく「(次に)何とか頑張ります」と淡々と語るだけだった。

 好調だった打線はこの日も再三もたついた。4回1死二塁でアギラー、コルデロが連続三振。5回1死二、三塁では金子、源田が凡退した。8回の1点も1死二、三塁から外崎の二ゴロでやっと奪った得点。延長10回の決勝点には外崎の失策が絡んだ。それでも中村の1発によって9回で終わらなかった粘りが今後の試合に生きていく。

 ルーキー武内の敗戦投手も消した中村の一振りに、松井監督は「結果は敗れたが、中村は見事だった。よくあそこで追いついてくれた」とうなずく。21年連続本塁打の球団新記録にも「記録は長くやってきた積み重ねによるもの。毎年良い準備をし、体調を維持して出てくれるので助かる」とベテランの奮起にただただ頭を下げていた。(安田栄治)