精神疾患や精神障害のある選手によるフットサル「ソーシャルフットボール」の第5回全国大会が4月13、14日、佐賀市のSAGAプラザで開催された。全国から10チームが参加し、地元からは大会に向けて結成された「Strahl SAGA」(シュトラール・サガ)が挑んだ。熱い声援を受けながらの戦いは全敗に終わったが、ドイツ語で「輝き」や「光」を意味するチーム名そのまま、最後まであきらめない姿勢で全国大会初得点を歴史に刻んだ。

 3点のリードを許し、試合時間は残り1分半。歓喜の瞬間は生まれた。シュトラールにとって大会4戦目となった「ひとしおや」(中国地区)戦。こぼれ球に反応した山下智史がハーフウエーライン付近から左足を振り抜くと、ボールはゴールに突き刺さった。応援団の大歓声の中、仲間とタッチを交わした山下はベンチにガッツポーズを見せた。

 佐賀県で10月に開催される全国障害者スポーツ大会(SAGA2024)のオープン競技として実施された。ほぼフットサルと同じ競技だが、通常5人で戦うところを女性選手が入ると6人で戦えるなど、独自のルールもある。

全力プレーで自分らしさを表現

 シュトラールは開催地枠での出場。この大会に向け、監督にはJ1サガン鳥栖の運営会社「サガン・ドリームス」勤務の井上裕介が就任し、昨年夏から本格的に練習を積んできた。

 全国大会開会式では、横道飛翔主将が選手宣誓の大役を果たし「全力プレーを通して自分らしさを表現し、応援してくださる方々、共にプレーしてくれる仲間たち、大会を支えてくださる皆さんに感謝の心を表現したい」と思いを語った。

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「次に向けてトライしていく気持ちに」

 大会では計5試合を戦った。地区予選を勝ち上がってきたチームを相手に守りを固め、チャンスをうかがったが勝利は遠かった。それでも「なんとか1点を」(横道主将)との思いが通じた。井上監督は「全国のレベルは高かった。ただ、大会に向けて選手たちはそれぞれの立場でどうチームに貢献できるかを考えてくれた。悔しさはあるが、選手やスタッフがいろいろな刺激を受け、次に向けてトライしていく気持ちになった」と前向きに捉えた。

 次回大会は2026年に神奈川県で開催される。関係者は今後、地元のフットサルリーグへの参戦も視野にさらに活動を広げていく方針だ。井上監督は「次の全国大会は自分たちの力で切符をつかみたい」と意気込んだ。
(中野剛史)