セーリング女子49erFX級のパリ五輪代表に決まったスキッパーの田中美紗樹と、大分市出身でクルーの永松瀬羅組(ともに豊田自動織機)らが8日、東京都内で記者会見に臨み、永松は「内定を得られたことはすごくほっとしている。これからまた頑張っていきたい」と意欲を示した。ともに初の五輪となる。

 永松は7歳から「B&G別府海洋クラブ」で競技を始めた。2021年の東京五輪の代表には届かなかったが、早大の後輩でもある田中に声を掛けてパリ五輪を目指してペアを結成。昨秋の杭州アジア大会で銀メダルを獲得した。今年4月の伝統の国際大会「プリンセスソフィア杯」で3位となり自信を深め、最終予選だった同月の「ラストチャンスレガッタ」で6位に。国別では4位で、5位までが得られる五輪出場枠を勝ち取った。

 生まれ育った九州で培ったものが今に生きる。6歳から16歳までクラシックバレエにも励んだ永松。育まれた体幹の強さは不安定な海上においても、クルーとして艇のバランスを巧みに保つことなどにつながる。得意の軽風時の航走は別府湾で過ごした日々のたまもの。「いつも風が本当に弱くて。それでも無理やり海に出て、風がない中でどうにか船を走らせるように日々練習をしていたことが、軽風時の走りや乗り方につながっている」。郷里で養った力が切符の獲得につながった。

 田中は「小さいころからの夢でもある五輪に自分が行けることをすごくうれしく思う」と笑顔を見せる。夢舞台への権利をつかんだ2人が、五輪会場となるフランス・マルセイユ沖でも好風をつかみ、目標の上位入賞を目指す。

 「ラストチャンスレガッタ」では男子iQFOiL級の富沢慎(トヨタ自動車東日本)も5大会連続の五輪代表を決めており記者会見に出席。混合ナクラ17級では飯束潮吹(エス・ピー・ネットワーク)西田カピーリア桜良(関大)組も出場権を獲得している。

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 ◆女子49erFX級(フォーティーナイナーエフエックス) 水面との摩擦抵抗が少ない細身の船体と、メインセールやジブセール、斜め後ろから風を受ける大きなジェネカーと呼ばれる3枚のセールで、パワフルな走りを見せる高速艇。男子は2000年のシドニー大会、女子は2016年のリオデジャネイロ大会から五輪で実施されている。スキッパーとクルーの両方が船体の外に体を出してバランスを取るダブルトラピーズ艇で、操船にはテクニックとパワーが求められる。