◆西武2―1楽天(11日、ベルーナドーム)

 ドラフト1位左腕はピンチで動じなかった。1点リードの7回1死三塁。武内が楽天ベンチにため息をつかせた。村林への1ストライクからの2球目。外角低めのツーシームでスクイズを空振りさせ、三塁走者を三本間で挟殺。窮地を脱した。

 7回1失点でチーム最多の3勝目。「ピンチでも冷静に打ち取って、粘り勝てた」。前日10日に今季ワーストの13失点で4連敗。今季最多の借金11を抱えた中での登板も「プレッシャーを与えられた方が気持ちも上がる」とパワーに変えた。

 2回以降は毎回走者を出しながら、失点は辰己の適時打による6回の1点だけ。7安打を許し、プロ最多の3四球を与えても「焦ってもペースが乱れるだけ」と自然体を貫き、最速150キロの直球に緩急も駆使して狙い球を絞らせなかった。

 クオリティースタート(6回以上投げて自責点3以下)は、デビューから5試合連続。1999年の松坂大輔の4試合連続を抜いた。規定投球回にも達し、防御率1・50はチーム2位。「投げるうちに体力もついてきた」。早くもチームの柱になりつつある新人を、観戦した後藤オーナーは「風格があって堂々として素晴らしい」と絶賛した。
(末継智章)