中米カリブ海の島国ハイチでは、武装集団の抗争などにより治安が急速に悪化しています。今年1月から3月までの死傷者は少なくとも2500人を超え、被害が拡大しています。

ハイチでは2021年に大統領が武装集団に暗殺されて以降、政情不安が続いていましたが、今年に入って武装集団による攻撃や抗争がさらに激化し、治安が急速に悪化しています。

国連ハイチ統合事務所が19日に発表した報告書によりますと、今年1月から3月までの間に、少なくとも2505人が死亡またはケガをしていて、死傷者数は直前の3か月と比べて53%以上、増加したということです。

また、同じく1月から3月までの間に、少なくとも438人が身代金目的で誘拐されています。

対立する集団のいるエリアなどで武装集団が女性や少女に性的暴行を加える事案も報告されていて、複数の被害者が暴行後に殺害されています。

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武装集団は公共機関やインフラに対し、大規模で組織的な攻撃を行っていて、2月末の時点で少なくとも22の警察施設が略奪や放火の被害に遭っています。

また、首都ポルトープランスを発着する国内線・国際線は、空港周辺での銃撃が相次ぎ、3月初旬からすべて運航を停止しています。こうした状況に加え、武装集団が首都へ続く幹線道路を占拠しているため、医療品や食料などが輸送できない状況に陥っています。

国連人口基金はハイチで2月以降、およそ1万5000人が避難生活を余儀なくされ、さらに国内各地ですでに36万2000人が避難民となっていると指摘しています。

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治安の悪化を受け、外務省は今月9日、ハイチにある日本大使館を一時閉館したほか、全土の危険情報を最も高いレベル4「退避勧告」にしていて、ハイチから直ちに退避するよう呼びかけています。