香川県小豆島の玄関口にある老舗ホテルに2024年の春、新たな温泉施設が完成しました。コロナ禍以降、旅行需要が回復する中、新たな旅行スタイルに対応する狙いです。

新岡山港からフェリーで約1時間10分。香川県小豆島の玄関口、土庄港に新スポットが誕生しました。

(小豆島オーキドホテル 今里肇総支配人)
「こちらが今回新しくできたオーキドホテルの『島湯』という温泉施設」

小豆島オーキドホテルの敷地内に4月に完成した温泉施設「島湯」。フェリーやホテルを運営する両備グループが宿泊施設の高付加価値化を支援する国の補助金を活用して工事を進めてきました。しかし、浴場に入ると、むき出しのコンクリートが・・・

(小豆島オーキドホテル 今里肇総支配人)
Q:これで完成している?
「そうです、これで完成なんです」

島湯を設計、監修したのは革新的な設計で知られる建築家、長坂常さん。「半建築」と呼ばれ、未来に余地を残し、利用客の想像力をかき立てる新たな建築の可能性を提示しています。

島湯のもう一つの特徴が、サウナです。熱いサウナストーンに水をかけ、水蒸気を発生させる「ロウリュ」を小豆島で初めて導入。水風呂の温度は14℃。外気浴スペースもあり、心身ともに整うことができます。風呂上りには、冷たいラムネをどうぞ。

さて、楽しめるのは温泉だけではありません。

ホテル内に2023年にオープンした居酒屋「うまげなもん」に島の漁師が届けたのは、朝獲れたばかりの瀬戸内の魚介類。この日は、マダイやスズキなどが獲れました。料理長は、その日の仕入れに応じて、メニューを決めるため、何が、どのような料理になるかは客にとっても楽しみとなります。

(白井大輔記者)
「ぷりぷりでおいしい。弾力のある噛み応え、噛めば噛むほどうま味と甘みが出てくる」

(小豆島オーキドホテル 三谷敏政料理長)
「スーパーで買うものとは鮮度が違う。なかなか食べられない。(客から)「食べたことがないほどおいしい」と言われるので、それがうれしい」

おいしい魚を食べるために小豆島に行く・・・観光と漁業のウィンウィンの関係を目指しています。

4月20日、香川県で、瀬戸内に春の訪れを告げるサワラ漁が解禁。瀬戸内のサワラ漁は「流し刺網漁」が中心で、長さ約1キロの網をまっすぐに海の中に下ろしていきます。サワラが頭を突っ込んで引っかかる仕掛けです。

居酒屋「うまげなもん」では4月30日現在、サワラフェアを開催中です。海と山に囲まれ、風光明媚な見どころが満載の小豆島。2023年1年間に島を訪れた観光客数は約91万6000人。コロナ禍前には戻りきっていませんが、2022年より10%増加し、回復傾向にあります。

3年に1度、瀬戸内海の島々を中心に開催される瀬戸内国際芸術祭などの影響もあり、島を訪れる人は団体から個人へとシフトしています。

(小豆島オーキドホテル 今里肇総支配人)
「小豆島の観光客のニーズが変わっている。3年に一度、瀬戸内国際芸術祭が開催される、来年(2025年)には大阪・関西万博が開催される。世界から客を受け入れることになる。今回のリニューアルのきっかけとなった。小豆島・土庄港は島の玄関口なので、ランドマーク的施設になれば」

「島湯」はリニューアルの第1弾で2025年冬には、居酒屋を改修して「島飯」、個人客の宿泊に特化したスペース「島泊」が整備されます。

小豆島の玄関口、土庄港が観光客と島の住民が出会い、集える新たな憩いの場として生まれ変わろうとしています。